和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

鞭打ちと顎関節症

はじめに †
 鍼灸の運動器系の治療の基本は「遠くに強く、患部は軽く」で、「動作制限には
動作鍼」です。鞭打ちや顎関節症は、寝違いもふくめて、「手足の甲への引き鍼」
と「動作鍼」が非常に効果的な典型例です。

 鍼灸の運動器系の応急処置の基本手順を復習しておきましょう。以下は肩から上
の場合ですが、それより下、とくに下半身の場合には、足の甲の陽経側(2指から
小指の間)を使うだけで基本的には同じです。くわしくは、「運動器系の応急処置」
を見なおしてください。


(1) 肩から上の運動器系処置の基本手順 †

まず症状を確認 †
 やりにくい動作を痛くなる一歩手前までしてもらい、向きと限界を確かめます。

 その動作でもっとも伸びるラインともっとも縮むラインを確かめ、その中でも、
もっとも伸びようとしているところ、もっとも縮もうとしているところを探します。
とくに、伸びようとしているところにツボが出ていて、そこが伸びないために動作
制限があることが多いです。

 さわれるようなら、そのあたりの皮膚や筋肉の状態も調べておきます。


手の甲に刺鍼しながら運動鍼 †
 動作制限の原因のツボに経絡的に関連する手の甲に強めに引き鍼しながら、痛く
ない無理のない範囲で、動作制限のある関節をゆっくり動かしてもらいます。

 経絡的な関連は、左右*前横後ろです。手甲の骨間の中で、患部が右なら右、左
なら左の、鼻など前よりなら1~2間、顎関節なら2~3間、耳など横側なら3~4間、
後頚部など後ろ側なら4~5間の骨間を探します。隣の骨間に出ることもあります。

 これで、半分くらい改善することも多いです。


熱いところがあれば、散鍼 †
 患部の近く、これから刺鍼するあたりで熱いところがあれば散鍼しておきます。
とくに急性期に炎症を起こしているときなどは、散鍼をていねいにやります。


動作鍼 †
 動作制限を確認し、痛む直前の姿勢でもっとも伸びるラインの中でもっとも伸び
ようとしているところを押して痛ければ、その痛む直前の姿勢のまま、そこに刺鍼
していきます。

 抜鍼したら、いちどラクな姿勢にもどってから、また同じ動作を繰り返してもら
います。先ほどよりもすこし余分に動くようになっていると思います。また、痛む
直前の姿勢でツボを探して刺鍼します。日常生活に不自由がなくなるまで繰り返し
ます。

 数すくないですが、もっとも縮む側が悪い場合もありますが、手順は同じです。

 急性期で炎症を起こしているときには深く刺さず、接触鍼をしながら動作鍼をし
ます。


頭に熱いところがあれば散鍼 †
 以上の刺鍼で頭に邪気が登ることもあるので、熱いところがあれば散鍼しておき
ます。


手の甲の引き鍼で仕上げ †
 おわりに、もういちど手の甲にツボを探し、強めに引いておきます。はじめと同
じ骨間になった場合には、八邪を使います。


(2)鞭打ち †

症状確認 †
 鞭打ちの場合に症状確認のときに注意するのは、事故などで、どういう方向から
衝撃を受けたかをできるだけくわしく聞きます。衝撃の方向と動作制限のラインが
一致することが多いです。ねんのため、実際にやりにくい動作を無理のない範囲で
してもらい確認します。

 以下とくに注意する点のみ書きます。


手甲に刺鍼しながら運動鍼 †
 首を無理のない範囲でゆっくり動かしてもらいます。


首の動作鍼 †
 首の動作鍼をしますが、鞭打ちの場合にはツボが深く、頸椎のすぐ上の筋肉にツ
ボの底がある場合が多く、そこまで鍼が届くとピリピリビリビリした感じを受ける
ことが多いです。また、動作制限の原因になっているツボが首だけでなく、肩、肩
胛骨・胸椎まわりをはじめとする背中、上腕、鎖骨まわり、胸骨肋骨などの胸にも
出ている場合があります。


(3)顎関節症 †

症状確認 †
 顎関節症の場合には、口の開き加減と奥歯の噛みしめ具合を確認しておきます。

 以下とくに注意する点のみを書きます。


手甲に引き鍼しながら運動鍼 †
 手甲に引き鍼しながら、無理のない範囲でゆっくり口を開けたり閉じたりしても
らいます。


顎関節に動作鍼 †
 口を無理のない範囲で開けてもらい、顎関節ちかくで制限のもとになっているツ
ボをみつけ刺鍼します。1回でダメなときには繰り返します。

 顎関節あたりに付着する腱の筋腹が関係していることもあり、その場合には顎関
節からすこし離れたところにツボが出ます。頭よりが多いです。こういう例は、肘
や踵(かかと)、指などもふくめ、小さめの関節の浅いところの痛みに多く、そこ
を引っ張る筋肉の筋腹にツボを探し刺鍼します。


首のツボに刺鍼 †
 顎関節症の場合には、頸椎4番付近の督脈や華陀経にもツボが出ていることもあ
り、出ていれば刺鍼します。

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