和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

陰経も使う五十肩

陰経も使う五十肩
(1) 古くなると陰経や脇の下

 先回までに、肩周りの基本的な刺鍼や、陽経や肩周りのツボを使う動作鍼を
稽古しました。それらをしても良くならない場合は、経過が古くて、脇の下や
陰経側にもツボが出ている事が多いので、今回は、脇の下や陰経も使う五十肩
の施術手順を稽古します。

 特に、腕が30度位までしか上がらない時は、脇の下や上腕の陰経にツボが
出ている事が多く、その部分が痼りになって伸ばそうとしても伸びないので、
腕が少ししか上げられなくなるようです。症状確認の時に、痛い手前まで上げ
てもらうと上腕の陰経側に脇の下に続く溝が見えます。その溝を脇の下のほう
に辿っていき、終点を肩のほう(座位で上の方向)に押しつけると圧痛があり
ます。そこが動作鍼をする時に最初に刺鍼する処で、一鍼する毎に次のツボが
溝の中を脇の下から遠ざかるのは、陽経側と同じです。

 脇の下に続く上腕の溝は、やや前方に挙上制限が有る場合には太陰よりに、
やや後方よりに挙上制限が有る場合には少陰よりに出る事が多いですが、溝が
斜めに走っている場合も多いです。これは、その挙上制限の時に使う筋肉が斜
めに走っているからです。

(2)陰の動作鍼

1.手順の全体像

 手順は、腕が殆ど上がらない場合など、症状確認の段階で脇の下や陰経にツ
ボが出ている事が確認できた場合には、手の甲に引き張りした後、直ぐに陰経
の引き鍼をし陰の動作鍼に進み、それから陽の動作鍼をし、後始末として頭の
散鍼と手の甲への引き鍼をして終えます。

 陽経側や肩周りだけを使う動作鍼をしても改善しなかった後で行う場合には、
陽の動作鍼の後に陰経の引き鍼をしてから陰の動作鍼に入ります。後始末の頭
の散鍼と手甲の引き鍼を忘れないでください。

 後始末に頭の散鍼を加えるのは、陰経側を刺鍼すると胴体内側の邪毒を刺激
する事が多く、その結果邪気が上衝して、後で頭が痛くなったり熱が出たりす
る可能性があるからです。

2.手の陰経の引き鍼(除刺除抜)

 手の陰経の引き鍼は、手の平は痛いので、普通前腕の手首近くの、列缺、内
関、陰げき付近を使います。見た目に凹んでいて押して痛い処を選びます。脇
の下のツボが太陰寄りなら列缺、少陰寄りなら陰げきの事が多いですが、いつ
も一致するわけではありません。

 手足陰経側の刺鍼は、「徐刺徐抜」が原則です。ゆっくり刺鍼していき、深
い息や瞬きなどの変化があっても直ぐに抜き始めないで、同じ深さで旋撚・横
揺らしなどの手技をし、息が深さが元に戻リ始めたり瞬きが減ったりなどの変
化があったら、ゆっくり静かに抜きます。こういう刺し方をするのは、陰経側
のほうが陽経側に比べて、邪気の動きが遅いためです。陽経の刺鍼は「速刺徐
抜」で、スッと刺していき、瞬きなどの変化があったら直ぐに抜き始めてユッ
クリじっくり抜きあげるという方法だった事と比較して違いを良く把握してく
ださい。

3.脇の下と陰経の動作鍼の基本的な方法

 さて、陰経の引き鍼の後の陰経の動作鍼は、先ず脇の下のツボに痛む直前の
姿勢で刺鍼するのですが、上向きなので弾入などが巧く出来ない場合には、患
者さんに寝てもらってから刺鍼しても良いと思います。その場合には、腕と胴
体の角度が痛み出す直前と同じ角度になるように腕を置いてから刺鍼するよう
にしてください。この部分も陰経に属しますから、徐刺除抜で刺鍼します。

 脇の下の刺鍼が終わったら、一度腕を戻して胴体に付けるようにしてから、
再度腕を痛くなる手前まで上げると、先ほどより少し余分に上がるようになり
ます。すると、今度は、脇の下の先ほど刺鍼した場所から凹んで見える窪み上
で少し上腕よりによった付近に圧痛のあるツボが見つかります。そこに除刺除
抜で刺鍼すると、また少し余分に上がるようになり、次のツボは溝状をもう少
し脇の下から遠ざかります。このツボの遠ざかり方は、症状の重さや発症して
からの古さによって違います。重く古いものだと、2cmくらい先に次のツボ
が出る場合があります。こういう場合には、腕が水平以上に上がるようになる
には多くの回数刺鍼する事になるので、じっくり取り組みましょう。

 陰経の動作鍼を終えたら、水平に近くまで腕が上がっているので、腕の陽経
や胴体側の動作鍼をして、日常生活に不便が無くなるまで改善します。その後、
後始末にはいります。

4.後始末の頭の散鍼と手甲引き鍼

 後始末は、先ず、頭の散鍼を行います。頭の散鍼は、片手で頭を撫でて熱い
箇所を探し、もう一方の手で熱い処を散鍼をします。鍼先から1cm位が指先
から出るように親指と人差し指で鍼体の部分を摘み、置くほうはユックリでも
良いから、離すほうを速くするように散鍼します。小指側で頭を弾くようにす
ると速く離せます。速く置いてユックリ離すと、痛いだけで冷めません。夏に
クーラーを止めて、頭が熱くなってから練習すると上達しやすいです。

 頭の散鍼の後、手の甲に引き鍼して終わります。

 この脇の下や陰経も使う動作鍼は、古くなって症状が重い五十肩に特効のあ
る刺し方ですが、他に伝えてらっしゃる先生がいないようなので、しっかり練
習して身に付けるようにしてください。

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