和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

鍼は邪気を引く道具

鍼は、邪気を引く †

鍼は、邪気を引く道具 †
•「鍼の自然則」のうち、まず理解する必要があるのは
鍼は邪気を引く道具」ということでだと思います。
◦鍼は、真気をよべるし、邪熱を散(ち)らせるし、シコリをゆるめられますが、
鍼の基本は引鍼にあります。
■つまり、鍼をしているところに邪気が集まってきたり、
邪気を集めたりできるということです。
◦とくに、術伝流のような一本鍼、
つまり一度に一本の鍼を使い、その鍼を順番に刺していく方法では、
鍼は邪気を引く道具」という視点が大切です。
■このごろは、たとえば線維筋痛症の方のように
邪気がたくさん体にたまっている方が多いので、
置鍼中心の場合でも、このことを理解して
鍼を刺していく順番と抜いてくる順番を考えたほうがよいと思います。
(手順をよく考えて刺鍼抜鍼すれば、
 患者さんにつらい思いをさせる可能性をへらせると思います)

真気をよんだり邪熱を散らしたりシコリを緩めるのも邪気を引くから †
•鍼の刺鍼で真気をよぶにはしばらく置鍼しておくことが多いですが、
このときも基本的には邪気がさったあとに真気が来ることが多いようです。
◦このあたりは、江戸時代の『杉山真伝流』の皆伝之巻「鍼法撮要」に
以下のようにあることと関係しているように思います。
「邪気の至るや緊にして疾く、穀気の至るや徐にして和す」
(邪気は鍼先に至りくるのが速く、鍼下にビリビリ緊張した感じがする)
(穀気は鍼先に至りくるのがゆっくりで、鍼下が温まり柔和になる感じがする)
(大浦慈観先生訳)
•熱いところは散鍼して熱をちらしますが、
この場合も、置くほうよりも引くほうを速くしないと、痛いだけで冷めません。
•また、痼りをゆるめるときも、
こっている筋肉にたまったり、引きよせられた邪気を引き出し
体の外へ出しつくすとシコリがゆるむように感じています。
◦つまり、どの刺法も、鍼が邪気を引くという性質を利用しているように思います。

邪気は毒より発し天(頭)を衝(つ)く †

邪気ってなに? †
•さて、鍼が引く邪気とはなんでしょう?
◦「治療は対話・次の朝の寝覚めが爽やかか」にも書きましたが、
「邪気」は、手にピリピリビリビリした感じを受けるもののことのようで、
体にたまった「邪毒」の中で形がなく目に見えないものを
まとめてそうよんでいるようです。
•邪気は、体に悪い働きと考えてもよいと思います。
◦機械が調子の悪いときに聞こえる雑音に似ているところがあり、
歪んだ体の発するサインにもなります。
•ビリビリ、ピリピリした感じを手に受けることが多いので、
電気のような感じも受けますし、
基本的に頭のほうへ、上のほうへ動きやすいようなので
ガスつまり気体のような性質もあるのかなと思います。
•真気にくらベ、速く瞬間的に動き、振れ幅はとてもこまかいように感じます。
◦比較すると、真気の速さは気功のときの手の動きくらいの速さで、
毛細血管の血流と関係しているような感じがします。
•最近の研究では、シコりになった過緊張状態の筋肉からは異常な活動電位が観察されるようで
それが邪気の正体の可能性もあります。
◦邪気を引き、異常な活動電位が無くなることで、筋肉が過緊張状態でなくなるのかもしれません。

病が動くと邪気は頭につきあげる †
•病が動くとき、つまり未病から発作的急性症状になると、多くの場合、
邪気が動きだし、頭のほうにつきあげるようになります。
◦ビールびんやどぶろくのビンをゆすると炭酸ガスがわきだし上昇し
栓を飛ばそうとするように。
•病が動かないときは、
邪気は、腹の中の悪血や水毒の中にひそんでいるようです。
◦静かに冷たいところに放置しておいたビールの中に
炭酸ガスがふうじこまれているように。
•小腹には悪血、大腹には水毒がたまりやすく、
普段でも、そこから出た邪気が少しずつ、
横隔膜や上焦、頭のほうへもれているようです。

◦このあたり、くわしくは
「治療は対話・次の朝の寝覚めが爽やかか」を参照してください。

邪気に頭を衝(つ)かせないように体外に出す †
•私は、鍼治療の基本は、そういう
邪気を頭をつかせないように、体の外に引き出す
ことだと思っています。

静電気の実験をふりかえる †
•昔、中学校か小学校でおこなった静電気の実験を思い出してください。
◦物体をこすりあわせて静電気を発生させるといろいろな現象がおきますが、
これは、物体の片方が+に帯電し、もう一方が-に帯電することによって起こります。
■-に帯電した物体の途中から地面(アース)への逃げ道を作ってあげて、
遠くに逃げられるようにしてあげると、-の電子はそちらに逃げ、
静電気が発生した事による現象は見られなくなります。

邪気の静電気的性質を利用したのが手足への引き鍼!? †
•邪気も気なので、これと同じ性質を持つようです。
◦手の陰経に引き鍼しておくと、
腹のシコリを動かしたときに発生した邪気は頭にむかわず、
手の陰経のほうににげるようです。
(どぶろくのビンの途中に孔と開けて
 そこからガスが逃げられるようにすると、
 上にある栓を飛ばすガス圧はなくなると考えてもよいです)
◦次回にくわしく説明しますが、
鍼の原則の一つに「手足に引く」というのがありますが、
それは、邪気の静電気的な性質を利用しているように思います。
◦また、これは、
腹に発生した邪気が頭にいくときに胸をとおるからでもあると思います。
■手の陰経は、胸の内部の邪気を引くのに一番使われる経絡です。
 ですから、別名で肺や心臓の名前をつけてよばれています。

邪気を体の外に誘導し水毒・悪血の毒性を下げる †
•このように、基本的に、
鍼をしているところに邪気が来るという性質を利用して、
受け手の方に苦しい思いをさせないように手順をよく考え、
邪気を体の外に誘導していくという感じで治療をおこなっています。
◦邪気を体の外に誘導できれば、
水毒や悪血など他の邪毒の毒性がさがるので、
体の持っている代謝排泄機能で、それらの邪毒も排出されやすくなります。
■そういう感じで鍼治療を見ています。

受け手の方の体がその時出したがっている丁度良い量を引き出す †
•とはいっても、
体の中の邪気を一度に全部引き出せばよいというわけではないようです。
◦体が一度に出せる邪気の量、あるいは、
一度に排出できる邪毒の量には、受け手の方一人一人違った限度があり、
それをこえて一度に引き出そうとすると、
受け手の方に辛い思いをさせてしまうことになります。
■古方派の方々のいう瞑眩は治療には付き物と思いますが、
受け手の方に辛い思いはできるだけさせない配慮が必要だと思います。
•受け手の方の体がそのとき出したいとのぞんでいる丁度よい量を
体の外に引き出せるよう、勘をみがいていきましょう。

ゆっくりじっくり邪気を感じる勘をやしなっていく †
•邪気を感じられないからといってあせる必要はありません。
◦私自身、自分に鍼して邪気かなという感じを感じるのに1年ほどかかりましたし、
受け手の方の体で動く邪気を感じるのにはそれから2年ほどかかりました。
■それに邪気を感じられないと言っている方のほとんどが
体では邪気を感じているようです。

誰でも邪気を感じている、意識できないだけ!? †
•試しにこれから書く実験をしてみてください。
おもしろいですよ。
◦前腕の内側中央(手厥陰)にそって指を動かすだけなんですが、
指がツボの上をとおるときに、
指がはねたり、指が動く速さが変わったりします。

i.まず、一人の方に前腕の手のひら側を上にむけて
水平に机の上などにおいてもらいます。
ii.もう一人の方にその腕の10cm上を、
腕のほぼ中央を肘から手首まで、
指をできるだけ一定の速度でゆっくり動かしてもらいます。
iii.みんなで横から観察してみましょう。
■ところどころで、すこし指が上にはねたり、
スピードが変化したりしているのがわかるでしょう。
■人をかえて実験してみても、
場所がすこし違うことはあるけれど、
同じように上にはねたり、スピードが変化したりしている
ことが観察できます。
■「私は邪気なんてわかりません。」という方でも、
ほとんどの場合指の動きは変化してています。
(私が試したのはもう200人以上になりますが
 指が動かなかった方は数人でした)
iv.そして、
そのはねたりしたところの下の部分の腕を押してみると、
痛かったりして、いわゆるツボになっているのがわかります。
■この実験は、手順だけ説明し、おこなっても同じ結果が出ます。
そして、横から観察した方が指がはねているとかスピードが変わっている
と言ってから解説したほうがおもしろいと思います。

邪気から逃げるのは原始的な能力!? †
•鍼で引かないときでも、
ツボからは邪気がすこしもれだしています。
◦頭で意識できなくても、心で思えなくても、
体はイヤな感じを受けて避けているようです。
■生物は、アメーバのような単細胞生物から進化しました。
特別な感覚器官はないけれど、
好ましいものには近づき、イヤな物からは逃げられなければ、
生物として生き延びることはできなかったはずです。
■人間の細胞一つ一つにも、
そういう原始的能力が残っているのかも知れません。

体が感じていることを意識できるよう勘をみがく †
•ですから、治療中の患者さんの邪気を感じる練習をするということは、
体が感じていることを意識できるようにすることにもなります。
◦体と体のコミュニケーションを意識して、
たがいに協力して勘をみがいていけば、
だんだんできるようになっていきます。
■たとえどうしても感じることができなくても
治療はできるようになっていきます。
(意識できないだけで、体は邪気に応じて適切な動きができるようになっていくため)
(ツボの上の指かざしで指が自然に避けるように動くのと同じように)
(どちらかというと、意識は、ぼーっとしている無心状態のほうが良いようです)
(逆に、いろいろしゃべれても邪気に応じて体が適切に動かない方は治療効果が出にくいです)↑
効いているときの目安を使えるようにしていく †
•それに、手に邪気を感じられないからといって、
邪気を引き出せないわけではなく、
邪気が動いている目安は目で見て手でさわって確かめられるものでも
ほかにもたくさんありますので、
そういうものを目安に邪気を体の外に引き出すことはできます。
◦一番わかりやすいのは、おなかへの息のはいり具合で、
鍼が効果をあげているときには深い息になります。
■安保徹先生や福田稔先生たちの自律神経免疫療法で、副交感神経優位をすすめて
 いるのと共通点を感じます。
(お仲間の水嶋丈雄先生は副交感神経優位になるような鍼施術をすすめていますし)
 <<<お腹に息が深くはいるということは副交感神経優位になっていると言うことだと思います。◦また、手の陽経に刺しているときには、
効いていればまばたきが多くなるので、それも目安になります。

邪気を感じなくても、邪気を受けている!? †
◦(逆に、邪気を感じられないからと言って
 邪気を受けないわけではありません
 邪気を受けて病気になったという方の大部分は姿勢が悪いからですが
 邪気を感じないでたくさん仕事しすぎて邪気をためすぎ
 とつぜん倒れる方が近ごろいるようですので、すこし心配しています)

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