和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

邪気を引く感じを味わう

鍼が邪気を引く道具だということを実感する †
•さて、「鍼は邪気を引く道具」という視点から
鍼(灸)の自然則を書いてきましたが、
そういう感じを身に付け
実際に邪気を引くことで効果を上げる方法を
実技編でくわしく解説していきます。
◦そのまえに比較的簡単な方法で、
鍼が邪気を引く道具だということを実感する手順を説明します。
■単発の講演や講座のオリエンテーションをたのまれたときに
実演し体験してもらっているやりかたです。

1.表位の症状を手の甲に引く †
•まえにも書きましたが、
鍼が邪気を引く道具だということを実感するためには、
まずは、
肩甲骨・鎖骨からうえの表位の症状を手の甲に引く
練習をします。
◦つまり、首や肩のつらい部分の症状や、
頭のハチマキをするあたりの熱いところの熱を
手の甲に引いてみます。
•大勢のまえで試してみるときには、
首や腕などの可動域制限が
施術前後の変化の確認がしやすくて向いています。
◦たとえば、首をどちらの側に捻転しやすいかなどです。
■首の左右捻転のしやすさの左右差が大きい方に
モデルになってもらいます。

症状から手の甲のツボの予測をする †
•症状が出ている部分が左右どちらかかで手の左右をえらびます。
◦たとえば、首を右にねじりにくい場合には
首の左側がシコっていて伸びないことが原因のことが多いので、
左手をえらびます。
•症状が出ている部分、この場合はシコリがある部分ですが、
そこが体の前側なら手の甲のツボも前よりの合谷などをえらびます。
◦後ろ側なら手の甲の4・5間の中渚など、
横よりなら手の甲の3・4間か2・3間を押して痛いほうをえらびます。
■肩こりの場合には、手の甲4・5間や3・4間が多くなります。
■首をねじりにくい場合には、
3・4間がいちばん多く、次に2・3間が多いです。
•この場合の手の甲4・5間というのは、
「手の甲の、小指と薬指につながる骨のあいだ」という意味です。
◦3・4間なら「手の甲の、薬指と中指につながる骨のあいだ」です。

指まわりをしらべ、手の甲のツボを予測する †
•指まわりをしらべて
ツボの出ていそうな手の甲の骨間を特定していくと
効果が出やすいです。
◦指と指のあいだの水掻き状の部分(八邪)を
上下にはさんでつまんでみて、
いちばん厚みがあるところをえらびます。
■押して痛かったりイヤな感じがあれば、
なおさら候補になります。
◦指を反らして
いちばんピリピリビリビリする感じの指をえらび、
そのどちらかの八邪を調べて厚さをくらべてもよいですし、
井穴を押して痛いところの延長の八邪をを調べてみてもよいです。

手の甲のツボを特定する †
•八邪をえらべたら、
その延長の手の甲のツボをみつけていきます。
◦手の甲のツボを正確に特定するには、
指と指のあいだの水掻き状の部分(八邪)にさがす指の横側面をあて、
手の甲の骨と骨のあいだに滑らせて、
いちばんヘコんだ場所をみつけます。
◦押してみて痛かったりイヤな感じがしたら当たりです。
•押してみるときには、
指を横向き、つまり爪が骨と骨のあいだに平行の向きにして、
皮膚に対して45°~60°の角度にかたむけてから、
指の先端の横より(指頭脇)で押すのがコツです。
◦手の甲の骨と骨のあいだはせまいので、
指腹や指頭では太すぎて
骨と骨のあいだに指先がはいっていかないことが多いからです。
■とくに爪と骨と骨のあいだの向きが直交している場合には、
指先が骨と骨のあいだにはいっていきません。
くわしくは「体は自然13.ツボ付近の状態、ツボの探し方」を
参照してください。
•ツボの出ているところの状態をよく見ておきます。
◦ヘコんでいることのほか、
すこしベタベタして指をすべらしたときにひっかかる感じをうけたり、
皮膚が黒ずんでいたりすることが多いです。
◦手の甲の骨と骨のあいだの距離も違います。
■ツボが出ているところでは、
手の甲の骨と骨のあいだが、
ほかの骨と骨のあいだよりも狭いことがおおいです。
◦また、ツボが出ているところに近い指の
根本の関節の甲側のふくらみの上が黒ずんでいたり、
皮膚がカサカサになって、すこしはがれていたりすることもあります。

ツボに刺鍼する †
•そうして選んだツボに痛がられないように刺鍼していきます。
◦こちらの手に何かビリビリする感じをうけたり、
鍼先にネバったような感じを受けたり、
受け手の方が何か感じたり、
まばたきが多くなったり、
おなかに深く息がはいったりしたら、
効きはじめた合図です。
◦刺鍼の深さを変えず、その深さで、
撚鍼、横ゆらし、弾鍼などの手技をします。
■しばらくそうして、
ビリビリした感じが減ったり、
まばたきが少なくなったりしたら、
抜いてよい合図です。
◦静かに抜いていきます。
◦抜いてくる途中でひっかかって
抜けてこなくなることが2,3回あるときもあります。
■そういうときには、
そこで、抜く方向に力を入れながら、
撚鍼、横ゆらし、弾鍼などの手技をします。
■しばらくすると抜けてきます。

手の甲や表位の症状がよくなったか確認する †
•抜きおわったら、まず、刺したところの変化を見ます。
◦ヘコみが減ったり、
黒ずみが消えて明るいピンク色に近くなったり、
指をすべらしてサラサラした感じを受けたりしたら、
よい変化です。
•つぎに、はじめに感じた表位の症状がよくなったか確認します。
◦首や腕などの可動域制限の場合には、
大勢で見ていても確認しやすいと思います。
■首がねじりにくかった場合には、
ねじりやすくなっているか試してみます。
•この首のねじりにくさを改善することは、
はじめての方同士で多くの方に二人組で試してもらうときにも、
すくなくとも6割以上の確率で巧くいくことが多いので、
鍼で遠くに引くことで症状を改善することができることを
味わってもらうのには、なかなか良い手段だなと思っています。

2.おなかのシコリを手陰経に引く †
•つぎには、おなかを触診してシコりをみつけ、
手の陰経や足の陰経陽経などに鍼して、
おなかのシコりをゆるめられるか練習してみてください。
◦これも、
おなかのシコりに関連する手足のツボがきちんと取れれば、
はじめての場合でも結構その場ででできてしまうことが多いです。
■ためしてみてください。
•陰経に刺した場合には、
あとで頭が痛くなったりしないように、
後始末として1.のやり方で手の甲に刺鍼しておきます。
•しかし、おなかのシコリがみつけられたり、
それに関連するツボがみつけられたりする必要があるので、
初心者だけだとむずかしいかも知れません。
◦筆者の講演や単発講座では、
筆者がおなかのシコリをみつけ、
患者さん役にも施術者役にもそのシコリを確認してもらいます。
◦手陰経のツボもおおよその場所を言って、
この場合には、肘の陰経側になりますが、
そのあたりで、すこし黒ずんだりヘコんで見え、
さわるとすこしベタベタしていて、
押すとペコペコしていて
患者さん役が痛がったり
イヤな感じを受けたりするところをみつけてもらい、
そこに刺鍼してみます。
◦そして刺鍼後、刺した場所とおなかのツボの変化を見ます。
•足の陰経陽経のツボに関しても同じようにします。
•どちらの場合も、おわりに、
後始末として1.で行った手の甲への引き鍼をしておきます。

3.おなかのシコリを背中に引く  †
•これも腹診して見付けたおなかのシコりを
関連する背中のツボでゆるめてみる練習をします。
◦おなかが痛いときに胃の六灸のツボを使ってみるのも
良い練習になると思います。
■どちらの場合もあとで頭が痛くなったりしないように
現在では1.でしたように手甲のツボのを使って
後始末をしておいたほうがよいと思います。
•これも初心者だけではむずかしいかもしれません。
◦筆者の講演や単発講座では、
2.と同じように腹のシコリをみつけ確認してもらい、
それから背中のシコリもおおよその場所を指定してから
みつけてもらい、
参加者のみなさんに自分にもできたを味わってもらっています。

自分で養生しながら腕をみがく †
•鍼で邪気を引く実感がつかめたら、
自分の手足の甲に鍼灸をして、
自分の体をととのえながら腕を磨いていきましょう。
◦0.6mmの円皮鍼であるパイオネックスや
粒鍼マグレイン、チタンテープなどを
手足の甲や指に貼るだけでも、けっこう、
二日酔いや頭痛、カゼの辛さが軽くなったりします。
•灸点紙を使ってお灸をするのも良いです。
◦学校で艾をひねる練習をしたものを棄てずにとっておき、
足の甲の骨間の押して痛いところに灸点紙を貼ってお灸をしていると、
慢性症状が改善したりします。
■学校で艾をひねる練習は沢山するでしょうから
毎日してもあまるくらい艾はあると思います。
•そういうふうに自分の手足に出ているツボを使って、
自分の体をととのえ、
実際に鍼灸することで自分の体が変化していくようすを味わいながら、
ツボをみつける練習、適度な刺激をする練習をして、
腕をみがいていきましょう。
•「経絡の本は手足」、つまり、
「よく効くツボは手足の肘膝からさきに多い」のですから、
それだけで、腕をどんどん向上させていくことができます。
片手刺しが左手でもできるようになれば、
右手のツボの刺鍼も自分でできますので、
刺鍼の練習も独習が可能です。
片手刺しというのは、
操体で有名になった橋本敬三先生が大正時代に
毛鍼がなかなか刺せるようにならなかったときに
工夫した練習方法です。
■鍼先から1cmくらいあけて
鍼体の途中を親指と人指し指ではさんで持ち、
痛くないように皮膚におき、
静かに撚鍼していくという方法です。
■「てきとうな大きさに切った新聞紙を反対側の手で垂らして、
 それに撚鍼していく練習をするとよい」
と本に書かれていましたが、
はじめはティッシュくらいのほうがやりやすかったです。
◦ティッシュにできるようになったら新聞紙に挑戦しましょう。

まわりの方にもやらせてもらう †
•自分にある程度効果を出せるようになったら、
まわりの方にも鍼灸させてもらいましょう。
◦ただ、痛くなく熱くなく鍼灸できないうちに刺鍼や直接灸をして、
痛がられたり熱がられたりしたら、
その方は二度とやらせてくれないと思います。
◦まずは、粒鍼マグレイン、チタンテープや点温膏などを
貼らせてもらったり、
刺さない鍼である提鍼や
皮膚に直接熱源がふれない温灸をやらせてもらいましょう。
■つぎは、0.6mm円皮鍼のパイオネックスかな。
•提鍼や温灸で効果を味わってもらい、終わるまえに、
まだ残っていそうなところに
粒鍼マグレイン、チタンテープや点温膏、
0.6mm円皮鍼のパイオネックスなどを
いろいろ貼らせてもらうとよいでしょう。
◦そのときに、頭首胴など体幹部だけに貼るのは避けましょう。
◦かならず経絡的に関連する手足甲の陽経側にも貼っておきましょう。
■現在では、
体幹部だけに貼ると症状が悪化する方がけっこうたくさんいますので。
•効果を味わってもらうことを優先していれば、
だんだん興味を持って、
直接灸や刺鍼をさせてくれる方も出てきます。
◦あせらずじっくりやっていきましょう。
■糸状灸や接触鍼ができると体験してもらいやすいので、
自分の体で練習してできるようになりましょう。
•まわりにやらせてくれる方が見つからないときにも、
あせらないでいきましょう。
◦自分の手足に鍼灸することで自分の体をととのえるのを
習慣にしていれば、
まわりの方で興味をもってくれる方はかならず出てきます。
■効果を上げていれば、まわりの方から声もかかりやすいです。
•そのためにも、鍼灸の道具はいつも持って歩くようにしましょう。
◦お弁当のおかず入れなどを利用して
コンパクトな鍼灸セットをつくると便利です。
•治療院を開いたときに大変なのは患者さんが来てくださるどうかです。
◦すこしずつ自分の患者さんを増やしていきましょう。

講習会に出たり作ったり †
•仲間を集めて練習する場を持つのも良いと思います。
◦自分たちだけでは不安なら、
先輩などに講師を依頼するとよいです。
■仲間を集め、費用を分担し、会を運営していくのは、
治療院を開いたときに、
患者さんを集め、帳簿を付け、治療院を経営していくことの
良い練習になります。
■卒後すぐに治療院を開いて軌道にのせた方には、
在学中に講習会や経営研究会などを組織し運営の中心になった方が多いです。
•自分に合った技術や師匠に巡り会え、大成されますように。
◦沢山の師匠についたら、
そのかたがたの共通点を見つけだすようにすると、
より深く鍼灸が身に付けられると思います。
■このあたりは、「治療は対話」偏にも
くわしく書きましたので参考にしてください。

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