和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

術伝流操体no.8

1. 連動とは一緒に動くこと †
 操体では、よく「全身に連動させてください」という声かけをするのですが、意
味がわかりますか? 初めての人だと、何のことかさっぱりわからなくて、とまどっ
てしまい固まったままという感じのことも多いようです。

 ヒトの体の動きをよく観察してみると、ひとつの場所の動きがそこの動きでとど
まらずに別の場所が一緒に動いていくことがよくあります。そういう一緒に動くこ
とを連動といっています。たとえば、首を捻っていく動きをしていくと、だんだん
胴体も同じ方向に捻れていくとかいうことです。

 しかも、その組み合わせがある程度決まっています。機械のようにいろいろな部
分をまったく別々に動かすことができるわけではなく、あるところがある方向に動
いたら、別のある場所の動きがある程度決まってくるということです。

 それで、そういう一緒に動く連動のパターンを理解しておくと、ふだんの生活の
なかでの動きがやりやすくなるし、疲れにくく、歪みにくくなります。また、二人
操体をするときに、受け手役の人にどう動いてもらうとタワメの間が決まりやすい
かわかるようになります。それで、これから4回ほど、そういう連動の仕組みを解
説していきます。


2. 末端の動きと体重移動の二つが大切 †
 体のいろいろな部分が一緒に動く連動を考えていくときに、2つの点に注目すると
わかりやすいです。それは、手首・足首・首の動きと体重移動です。手首・足首・
首の動きは体の末端の動きですし、体重移動を意識するというのは体の重さの中心
である重心の移動を意識するということです。

 つまり、体の末端の動きと中心の動きを考え、それぞれが体のほかの部分の動き
とどう関係しているか、体の末端の動きが体のほかの部分の動きにどうつながって
いくか、体の中心を移動する動きが体のほかの部分の動きにどうつながっていくか
を理解していくと、体まるごと全体の連動がわかりやすいということです。


3. 手首の動きをきっかけに †
 そのなかでいちばんわかりやすいのが手首の動きが全身にどう伝わっていくか
なので、今回は手首の動きを全身に伝えるということを説明していきます。

 手首の動きをきっかけに、その動きをまず肘に伝え、肩、肩甲骨、鎖骨を通して
胸骨・肋骨・背骨に伝え、背骨から骨盤を通して足に伝えていきます。一応、こう
いう動きも一人操体として行うので、そういうふうに手首からの動きを体のあちこ
ちに伝えながら、より深い気持ちよさの味わえるタワメの間の姿勢を探していきま
す。そして、体重をどちらに移動させると、よりイイ感じか確かめ、イイ感じの方
に体重を移動させます。

 手首の関節を動かす、掌屈・背屈、橈屈・尺屈、左右捻転の中では、捻転の動き
がいちばん遠くに伝わりやすいので、きっかけとしてよく使われます。

 また、手首を動かすときには、小指に意識をおいた方が動きがまとまりやすい
ので、小指側に意識をおいて動かすようにします。


3.1.腕を水平に上げた状態から手首を捻転 †
 初めは大きな動きの方がわかりやすいので、まず腕を横に床と水平になるように
上げてみてください(写真1)。
画像の説明写真1
ここからは、実際に自分で動いて確かめながら読んでみてください。

 両方の小指側を手の甲の方に捻ることをきっかけにして、その動きを肘、肩・肩
甲骨・鎖骨を通して背骨に伝えていくと、体が前屈していきませんか? この場合
には、お尻を後ろに突き出して体重をすこし後ろに移動させるとイイ感じになりま
せんか?(写真2)
画像の説明写真2

 両方の小指側を手のひらの方に捻ることをきっかけにして、その動きを肘、肩・
肩甲骨・鎖骨を通して背骨に伝えていくと、体が後屈していきませんか? この場
合には、腰を前に突き出して体重をすこし前に移動させるとイイ感じになりません
か?(写真3)
画像の説明写真3

 片方の小指側を手の甲の方に捻り、もう一方の手の小指側を手のひらの方に捻る
ことをきっかけにして、その動きを肘、肩・肩甲骨・鎖骨を通して背骨に伝えてい
くと、小指を手の平の側に捻転した方に体が捻転していきませんか? そして体重
をそちら側の足に移していくとイイ感じになりませんか?(写真4)
写真4
画像の説明

3.2.腕を下げた状態で手首を捻転 †
 こんどは、腕を下げ垂らした状態から手首を捻転させることをきっかけにしてみ
ましょう。すこし手を体から離した状態からの方が捻転しやすいと思います。

 片方の小指側を手のひらの方に捻ることをきっかけにして、その動きを肘、肩・
肩甲骨・鎖骨、背骨を通して腰や脚に伝えていくと、体全体が手首を捻転した方に
捻転していきませんか? 体重もそっちに移した方がイイ感じになりませんか?
(写真5)
画像の説明写真5

 片方の小指側を手の甲の方に捻ることをきっかけにして、その動きを肘、肩・肩
甲骨・鎖骨、背骨を通して腰や脚に伝えていくと、体全体が手首を捻転した方と反
対の方に捻転していきませんか? 体重も反対の方に移した方がイイ感じになりま
せんか?(写真6)
画像の説明写真6

 両方の小指側を手の甲の方に捻ることをきっかけにして、その動きを肘、肩・肩
甲骨・鎖骨、背骨を通して腰や脚に伝えていくと、体が前屈していきませんか? 
この場合には、お尻を後ろに突き出して体重をすこし後ろに移動させるとイイ感じ
になりませんか?

 両方の小指側を手のひらの方に捻ることをきっかけにその動きを肘、肩・肩甲骨・
鎖骨を通して背骨に伝えていくと、体が後屈していきませんか? この場合には、
腰を前に突き出して体重をすこし前に移動させるとイイ感じになりませんか?

 片方の小指側を手の甲の方に捻り、もう一方の手の小指側を手の平の方に捻るこ
とをきっかけにして、その動きを肘、肩・肩甲骨・鎖骨を通して背骨に伝えていく
と、小指を手の平の側に捻転した方に体が捻転していきませんか? そして体重を
そちら側の足に移していくとイイ感じになりませんか?


3.3.手をいろいろなところで捻転させる †
 手をいろいろな位置において手首を捻転することをきっかけにしてみましょう。
 たとえば、胸の前に手を横、つまり床と平行において、小指側を手のひら側に回
す手首捻転をきっかけにしてみると、体全体は前屈していきませんか? そして、
お尻を後ろに突き出して体重を後ろに移動するとイイ感じが増えると思います。
(写真7)
画像の説明写真7

 逆に小指側を手の甲の方に回す手首捻転をきっかけにすると、体全体は後屈して
いきませんか? そして、腰を前に突き出して体重を前に移動するとイイ感じが増
えると思います。

 手の平を頬につけた状態や頭の後ろにつけた状態で手首捻転してみるとどうなる
でしょう? 肘を直角に曲げた状態で手をいろいろな位置に置き、手首捻転してみ
るのも面白いですよ。たとえば、上腕を床に水平にして肘を直角に曲げ、前腕を垂
らした状態と、逆に前腕を上げた状態で、小指側が手の甲側に回る手首捻転をして
みると、体全体の動きは正反対になりますね。確かめてみてください。

 両手を合掌させたり、手を組んだ状態から手首を捻転させてみるとどうなるかも
確かめてください。


3.4.手首の背屈・掌屈、橈屈・尺屈をきっかけに †
 捻転以外にも、手首をいろいろなところにおいてから、反らしたり(背屈)、手
の平側に曲げたり(掌屈)、親指側に曲げたり(橈屈)小指側に曲げたり(尺屈)
することをきっかけに、それらの動きを肘、肩・肩甲骨・鎖骨、背骨を通して全身
に連動させてみてください。いちど一通りやっておくと、体の動きが理解しやすく
なるし、二人操体でのタワメの間がみつけやすくなります。

 たとえば、手を垂らした状態から手首を親指側に曲げていく(橈屈)と、肘が曲
がり、指先が肩まで上がっていき、肘がだんだん上がり、体を後屈する動きが生ま
れてきませんか? この場合には、やはり、腰を前に突き出して体重を前に移すと
イイ感じが増えると思います。(写真8)
画像の説明写真8

 また、両手を合掌させたり、手を組んだ状態から背屈・掌屈、橈屈・尺屈をきっ
かけにするとどうなるかも試してみてください。


4. 腕の動きと手首捻転の関係 †
 いままでは手首の動きを肘肩などを通して体全体に伝えてみましたが、それ以外
にも試してみるとおもしろい関係があります。腕を伸ばしたり縮めたりする動きと
手首捻転の関係です。

 手を前に伸ばしたり、上に伸ばしたりするときには、手首をどう回転するとやり
やすいでしょう? 小指側が手の甲の側に回る手首捻転をすると、手を伸ばしやす
くなりませんか?(写真9)
画像の説明写真9

 逆に手を前や上に伸ばした状態から縮めてくる場合には、小指側が手のひら側に
回る手首捻転をすると、手を縮めやすくなります(写真10)
画像の説明写真10

 これから操体をしていくときに、このあたりのことがしっかりわかっていると、
そのときしている操体のタワメの間が決まりやすくなります。声をかけて、手首を
捻転しやすい方に捻転してもらうだけで、より深い気持ちよさを味わってもらえま
す。

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