和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

術伝流操体no.21

1.ラク寝からの連続操体の手順 †
 ラクな寝方からの連続操体の手順は以下の通りです。

 初めに「姿勢を変えたくなったら、どんどん変えて構いません。ただ、ユックリ動いてく
ださい」と声をかけておいてから、連続して操体をしていきます。

(1)ラクな寝方になってもらう
(2)イイ感じを探し、キッカケにする 
(3)付け足してイイ感じを増やす
(4)イイ感じがあるか確かめ味わい続ける
(5)姿勢を変えたくなったら終え、次へ
(…)(1)~(5)を繰り返す

 これから、(1)~(5)について、少しくわしく説明していきます。


2.ラクな寝方がわからないときは、横向きから(写真1) †
画像の説明写真1
 ラクな寝方がはっきりわかる人が相手なら、その寝方を少し強調するように操体していき
ますが、初めのうちはラクな寝方がわからないという人がいます。

 そういうラクな寝方になれない人には、まず横向き寝の操体から始めると、うまくいくこ
とが多いです。前にも書きましたように、身に付けていくときには、寝方は、仰向け、うつ
伏せ、横向きの順で練習していくほうがわかりやすいし、修得しやすいのですが、実際に臨
床の場で操体するときには、これと逆の順序のほうが効率が良いことが多くなります。つま
り、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で操体していきます。

 もちろん、イイ感じがはっきり自分でわかる人なら、その人が感じるラクな寝方から始め
ても、あまり効率に影響しませんが、現代では歪みも多いし、初めからイイ感じがわからな
い人も多いので、受け手がラクな寝方がわからないようなら、横向きから始めたほうが効率
が良い場合が多いです。

 寝方が横向きからが良いのは、おそらく、歪みが少ない人は仰向けで寝るのがラクな人が
多く、歪みが増えていくとうつ伏せを好む人が増え、歪みがとても多くなると横向きを好む
人が多いからだと思います。歪みの多い人は、最初に仰向けで操体してもイイ感じがわから
なくて、タワメの間がうまく見つからないことが多いです。


3.足指を痛くしてよりラクになってもらう(写真2) †
画像の説明写真2
 ラクな寝方になったら、またわからない人に横向き寝になってもらったら、いままでも説
明してきたように足指裏のシコリを少し痛くして逃げてもらい、足指裏の痛さが減る姿勢に
なってもらいます。その姿勢のほうがよりラクなことが多いからです。


4.ラクな姿勢を強調するとイイ感じなことが多い †
 いままで寝方別操体で説明してきたようにラクな姿勢、とくに足指を少し痛くしてよりラ
クになった姿勢を少し強調するとイイ感じがあって、そのままタワメの間にはいっていくこ
とが多いです。ですから、いままで寝方別に説明してきた定番の操体の姿勢に近い姿勢なら、
それをまず試してみるのがよいと思います。試してイイ感じならやってみて、姿勢が変わっ
たら、また、近いものをやってみればよいだけです。

 問題なのは、受け手が操体慣れしていなくてイイ感じがわからない場合と、初めてみる姿
勢になった場合です。


5.イイ感じがわからないときには、重さ、皮膚、動きの順で定番をしていく †
 操者がラクな姿勢から定番の操体を思い浮べられなかったり、思い浮んでも試してみて受
け手がイイ感じがわからない場合には、重さ、皮膚、動きの順で定番をしていきます。練習
のときは、動き、皮膚、重さの順でしましたが、それはそのほうがわかりやすいし、修得し
やすいからです。臨床のときには、重さ、皮膚、動きの順でしたほうが効率が良い場合が多
いのでそうしています。つまり、重さの操体を先ずして、それから皮膚や動きの操体という
順番のほうが、現在では、全体の施術時間が短縮できることが多いし、受け手の満足度も高
いことが多いし、効果もあがりやすくなるということです。

 これは、重さの操体というのは体重移動をキッカケにしているので体の歪みの基本調整に
なるからだと思います。体重を移動するというのは体の中心、重心を移動するということで、
地球の上で引力にしたがって活動しているヒトという動物である私達にとって、その重心の
ズレは、体の歪みの基本に関わっています。経絡とくに十四経は立ち姿勢での重力負荷分担
であることも関係が深いです。

 動きや皮膚の操体をしてから重さの操体をして、重心の調整をすると、さきに動きや皮膚
の操体で調整した体のバランスが少し違ってくるせいか、もう一度、動きや皮膚の操体をし
たくなってしまうことも多いように思います。

 そういうわけで、ラクな寝方がわからない人には、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で、重
さ、皮膚、動きの順で操体します。つまり、ラクな寝方もわからないし、どうするとイイ感
じかわからない人が受け手の場合には、横向き寝からの重さの操体から始めるということで
す(写真3)。
画像の説明写真3
ただし、実際には、横向き寝の場合には、重さの操体を単独でというよりも、皮膚の操体も
交えたものになってしまうことが多いです。ただ、どういう操体をしていいかわからなくなっ
たら、まず重さの操体が試せないか考えてみたり、重さのかけ方を意識して皮膚操体してみ
るという選択肢を思い出すようにしてください。

 そして、重さの操体で済んでしまうことは皮膚や動きの操体では省略することが多くなり
ますし、皮膚の操体で済んでしまうことは動きの操体では省略することが多くなります。ま
た、現在では、動きの操体よりもそれと同じタワメの間になる皮膚の操体を好まれる人が多
いので、ラクな動きを確かめてから、それを少し強調する皮膚の操体をすることが多くなり
ます。

 たとえば、仰向けからの踵踏み込みは、肩のほうに体重を移すことで済んでしまうので、
動きの操体としてはしないことが多いです。膝たおし、踵突き出しなどの足伸ばし、うつ伏
せからの足伸ばし代わりの尻たたきなどは、ラクなほうにかるく動かしたあと、それをほん
の少し強調する皮膚の操体でしてしまうので、動きの操体としては確認程度になることが多
いです。結局、仰向けからの動きの操体として残るのは、膝裏シコリ取りの膝裏シコリを痛
くして逃げてもらう操体(写真4)くらいのことが多くなります。
画像の説明写真4
このあたり、くわしくは、仰向けからの操体を読み直してください。


6.初めて見る姿勢になったら †
 ラクな姿勢を強調すると言っても、いままで寝方別に説明してきた定番の操体の姿勢に近
い姿勢なら、それをしてみるのが良いと思います。いままで見たことのない、初めて見る姿
勢になったら、どうするか、いくつかコツがあります。


1)伸びようとしているラインを伸ばす †
 初めて見る姿勢になったときに、最初に目を付けるのは、その姿勢で体が伸ばしたがって
いるラインはどこかなということです。

 操体はアクビやノビの様式化で、赤ちゃんのときにはできたことを思い出すだけです。で
すから、操体のタワメの間というのは、アクビやノビでイイ感じになったときにしばらくの
あいだ同じ姿勢を続けるときの状態と同じです。ノビという言葉で表現されるように、そう
いうしばらく同じ姿勢が続いているときには、体のどこかのラインが伸ばされ続けています。

 そのとき体が伸ばしたがっているラインをより伸ばしてあげればイイ感じのことが多く、
おなかの息もすぐに深くなることが多いです。もっとも現在では、伸ばすといっても動きの
操体でするよりも皮膚の操体をするほうがよりイイ感じという人が多いので、伸ばすことに
つながるように皮膚をずらすことが多くなります。

 たとえば、仰向けで膝を曲げて倒し大腿内側を上に向けている(写真5)の場合には、
画像の説明写真5
その上になっている大腿内側が伸びるように大腿の膝近くの皮膚を膝のほうにずらす(写真6)
画像の説明写真6
のがイイ感じのきっかけになることが多いです。

 そのとき体が伸ばそうとしているライン上で釣り合っている互いに逆向きの二つの力の向
きと、それら二つの力の境目を見つけるようにしてください。それがわかると、よりイイ感
じにしやすいです。その境目を基準にして、伸びようとしている向きに反って互いに反対方
向になるように皮膚をずらすとイイ感じになります。

 ただし、受け手の胴体の重さが反対方向の力になっているときには、片方の方向にずらす
だけですんでしまうことも多いです(写真6)。もちろん、こういう場合にも反対側に手を
そえて、より伸ばすことを強調することができます(写真7)。
画像の説明写真7

どちらが良いかは受け手によります。たとえば、異性で初めての人の場合には、下腹部に近
いところをふれられると緊張してしまう場合もあり、そういう場合には、ふれないほうが良
い場合が多くなります。

 伸ばすのがやりにくい場合には、それと反対側を縮めることをすることもあります。伸び
ているところと縮んでいるところは前後左右表裏の対称関係になっています。


2)体が変えたがっているところを見つける †
 体が変えたがっているところは、伸ばそうとしているところ以外にもあるかもしれません。
足首、膝、大腿、上腕などの位置や向きから、動きやすそうなところ、皮膚がズレやすそう
なところ、体がいま変えたがっているところを探していきます。

 足首や膝の位置や方向が左右で違えば、その差を強調してみることが考えられます。
たとえば、仰向けで足の倒れ具合が違えば(写真8)、
画像の説明写真8
倒れている方の足の膝裏外側にシコリがないか確かめ(写真9)、あれば、
画像の説明写真9
その膝裏外側のシコリから逃げる操体をしてみる(写真10)ことなどが考えられます。
画像の説明写真10
 大腿、上腕の向きの延長線上やそれと直交したり平行したりする線上と背骨が交わるあ
たりにツボが出やすいことも今まで寝方別で説明してきたとおりです。たとえば、うつ伏
せで肘を肩と同じ以上に挙げている場合(写真11)には、顔の向いている側の腕の延長
画像の説明写真11
の華陀経にツボが出ていることが多く、そちらの肘を持ち上げる操体をきっかけに、指そ
らしとそのツボへの指圧をつけくわえる(写真12)とイイ感じなことが多いです。
画像の説明写真12

 背骨の捻れ曲がりも目安になります。とくに腰椎の部分は胴体の前屈後屈、左右捻転な
どの境目なので、よく調べてみてください。腰椎の次は頚椎ですね。とくに首から上の症
状を訴える人は首の筋肉にシコリが出ている場合が多いです。

 首や胴体の歪みと経絡的に関係のある手足のツボもいっしょに使うと効果が上がりやす
いです。たとえば、関係する手足の指を反らすとか。


3)仰向け大の字に近くなったら †
 操体してイイ感じのタワメの間をいくつか味わっていると仰向け大の字に近い格好にな
るときがあります。そういうときには、その姿勢で仰向け大の字と違っているところを強
調するとイイ感じが味わえることが多いです。

 たとえば、片足の膝だけ少し曲がって下腿の内側が上を向いているとき(写真13)は、
画像の説明写真13
下腿内側にシコリがある場合が多いので、それを確かめ、そのシコリとその経絡的な関係
のある指など足首から先を利用する操体をしていく(写真14)と、より仰向け大の字に
近づくことが多いです。
画像の説明写真14


7.付け足してイイ感じを増やすコツ †
 きっかけが決まったら、それに付け足してイイ感じを増やしていきますが、イイ感じを
付け足すコツは、まず何と言ってもキュークツそうに見えるところを動かしてもらうこと
です。そんなのわからないと言わずに、それをいつかわかるようになろうという感じで操
体中の受け手をながめるようにしてください。だんだんわかるようになっていきます。
キュークツそうなところは、受け手の体はどうにかして変えたがっていますから、声をか
けるだけでイイ感じを探して動いてくれることが多いので、操者はラクです。

 それ以外というか具体的な目の付け所としては、手首、足首の位置や向き(足首の場合
は反り具合も)、膝の曲がり倒れ、顔の向き、大腿上腕の向き、背骨とくに腰椎の部分の
捻れ曲がり具合などです。そういうところを少し強調してもらったり、キュークツそうな
ら変えてもらったりします。そして、そういうところと経絡的に関係する手足、とくに肘
膝から先のツボに皮膚操体や指圧をしてみたり、経絡的に関係する指を反らしたりも試し
てみてください。

 このあたりは、今まで書いてきた寝方別の操体を読み直してみてください。


8.イイ感じならお腹の息が深くなる †
 いままでもなんども書いてきたようにイイ感じのタワメの間に入るとお腹の息が深くな
ります。シコリにふれていればシコリがゆるんだり、シコリのまわりで動悸がしたり温か
くなったりするのを感じることが多いですし、姿勢もあまり変わらなくなります。

 現在では、その日に体が求めているタワメの間に入ると、そのまま10分以上姿勢を変
えたがらないで、そのままの格好をし続けるということが非常に多いです。


9.姿勢を変えたくなったら、次へ †
 姿勢を大きく変えたくなったら、その操体を終わりにしてよい合図で、またラクな姿勢
を探して、新しいラクな姿勢から次の操体をします。ラクな寝方がわからない人は、すで
に書いたように、横向き、うつ伏せ、仰向けの順で寝方を変えて、重さ、皮膚、動きの順
で操体をしていきます。

 いつまでもラクな寝方がわからないという人もいますが、途中でラクな寝方がわかる人
が多いです。そんなふうにして、ラクな寝方からの操体を連続していきます。


10.よくある二つの例 †
 私は、今まで書いてきたように、ラクな寝方からの操体を連続していくことを臨床の場
で操体を中心に施術していくときの主な手段にしていていますが、受け手がとても喜んで
くださっています。それで、読んでいるみなさんにも、ぜひ身に付けて、臨床の場で生か
してほしいと思っています。

 とはいっても、読んでいるだけではわからない人もいると思うので、次回、次々回で、
連続操体をしていくときによくある例を二つあげておきます。ラクな寝方がわからない人
を横向きの操体から始めた場合のよくある例です。ただし、実際に受け手にラクな姿勢を
次々探していってもらった例なので、もっとも頻繁にあるケースとは少し違っているとい
う点は理解するようにしてください。

>>>つぎへ>>>術伝流操体no.22

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