和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

術伝流操体no.20

1.はじめに †
 先回は、横向き寝からの動きの操体でした。今回は、横向き寝からの皮膚と重さの操体です。体の調子が
悪くなると横向きに寝るのがラクな人が増えていきます。横向き寝からの操体は、橋本先生の本にはあまり
出てきませんが、現在ではよく使うので、しっかり覚えてください。しかも現在では、動きよりも皮膚や重
さを好む人が多く、しかも効果も上がりやすいので、臨床の場では不可欠なものになっています。

 横向き寝からの皮膚の操体としては、仰向けやうつ伏せの動きのときと同じように、動きの操体を皮膚の
操体に置き換えていくものと、皮膚の操体独自のものとあります。

 動きの操体のときと同じように、横向き寝の場合に、まずはじめに観察するのは膝の曲げ伸ばしで、膝を
曲げたほうがラクな人が多いです。はじめは、横向きに寝ながら足を重ねてまっすぐ伸ばしている人もいま
す(写真1)が、声をかけて膝を曲げた状態とまっすぐな状態を比較してもらうと曲げたほうがラクなこと
に気づく人が多く、しかも、膝を重ねているよりも膝をずらしてどちらの膝も床に着いている状態がラクな
人がいちばん多いです。
画像の説明写真1


2.動きの操体を置き換えていくもの †

1)横向き膝曲げで、皮膚の操体 †
 横向き膝曲げの姿勢がラクな場合に、次に観察するのは、上になっている側の足の膝が下になっている側
の膝よりも前に出ている(写真2)か、後ろ側(写真3)かです。比較すると、前に出ているほうがラクな
人が多いです。
画像の説明写真2
画像の説明写真3


場J)上の足の膝が前なら †
 上側の膝が前の場合には、上の腰ちかくの皮膚を膝のほうにずらしていくのが気持ちよい場合が多いです
が、膝と腰の位置関係によって少しずつ違いが出てくるので、まず膝の位置がいちばんラクな位置になって
いるか確認します。上になっている足の小指の4指側か、4指の小指側の指裏関節部のはじを少し痛くする
と、膝を動かして逃げます(写真4)。痛みが減ったところがいちばんラクな膝の位置になることが多いです。
画像の説明写真4

場@)上側の大腿に注目する
 上になっている足の膝の位置が決まったら、つぎに大腿に注目します。ラクな寝方が決まった場合、体が
そのときに変えたがっているところは、大腿の延長線上か平行な線上、大転子をとおり大腿と直行する線上
にあることが多くなります。そして、大腿の延長線上や平行な線上に胴体があるか、大転子をとおり大腿と
直交する線上に胴体があるかによって決まってくることが多いです。横向き寝の場合には、圧倒的に、大腿
と平行な線上にある場合が多くなります。

 具体的には、お尻ちかくの皮膚を膝のほうにずらすときに、気持ち良さが感じられたり、腹の息が深くな
ることが多いです。

A)尻の皮膚を膝のほうにずらす
 上側の大転子や腰骨の背中側のあたりに手のひらを置いて、手が滑らないように、膝のほうにゆっくり皮
膚をずらしていきます(写真5)。
画像の説明写真5
かるい力でずらせる範囲で。 気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、膝のほうへずら
そうとする力を加え続けます。言葉の通じる人には声をかけて、操者の手がふれていないところ、たとえば、
首を左右どちらに回すと気持ち良さが増えるか聞いて、気持ち良さが深くなるように首を動かしてもらいま
す。ふれていない手足も気持ち良さが深くなるような格好を探してもらいます。わずらわしくない範囲で。
受け手が姿勢を少しずつ変えていくのに合わせて、ちょうどよく釣り合ったタワメの間になるように、操者
も加えている力の入れ方、力を入れる方向や強さなどを少しずつ変えながらずらし続けます。

 受け手が大きく姿勢を変えたくなるか、息が浅くなったり、気持ち良さが感じられなくなるまで続けます。
言葉が通じない人の場合には、引き込まれるように感じられるときは続けてほしいというサインで、押し返
すように感じられるときには終わりにしてほしいサインです。

 しばらくラクな姿勢で休んでもらいます。

B)腕や首の動きを加える
 今度は両手を使ってみます。片方の手は「A)尻の皮膚を膝のほうにずらす」で説明したように、尻の皮
膚を膝のほうにずらします。もう一方の手をどこに置くかです。目を付けるのは、肩をはじめ上半身です。

 横向き寝で膝を曲げた姿勢がラクで尻の皮膚を膝方向にずらすと気持ちよい場合には、上半身のラクな動
きはおもに二通りになります。肩あたりの皮膚も胸のほうにずらしたほうがよい場合と、反対に背中のほう
にずらしたほうがよい場合です。比較すると、背中側にずらしたほうがよい場合がやや多くなります。

 肩を背中側にずらしたほうがよい場合には、体全体を腰椎を境に捻るように皮膚の張りを作っていること
になります。腕を背中側にして大腿と平行に伸ばすか、肩から大腿と直行する線上に伸ばすかそのどちらか
が良い場合が多いです。

 肩まわりの皮膚を前にずらすのがラクな場合には、体全体を少し前屈させながら上になっている側を畳や
布団に近づけていく動きになります。

a)胴体が捻れる場合
 胴体が捻れていくのがよいときに、肩まわりの皮膚操体をつけたすには、あいている手のひらで肩を包み
込むようにして滑らないようにし、ゆっくりずれやすいほうにずらします(写真6)。かるい力でずれる範
囲で。
画像の説明写真6

 気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、片手で膝のほうへ皮膚をずらすことでうまれ
る皮膚の張りともう一方の手で肩の皮膚をずらすことでうまれる皮膚の張りがちょうどよく釣り合うように
皮膚をずらし続けます。

 言葉の通じる人には声をかけて、操者の手がふれていないところ、たとえば、首を左右どちらに回すと気
持ち良さが増えるか聞いて、気持ち良さが深くなるように首を動かしてもらいます。ふれていない手足も気
持ち良さが深くなるような格好を探してもらいます。わずらわしくない範囲で。

 肩まわりの皮膚のかわりに腕の皮膚ずらしをつけくわえるほうがよいという人もいます。大腿と上腕が平
行の場合には、肩まわりの皮膚をずらすかわりに、小指側が手のひら側にまわる捻転につながるように腕の
皮膚をかるくずらしてから手首のほうにずらすとよいことが多く、上腕の皮膚をずらすのがよい人が比較的
多いです。大腿と上腕が直交している場合で手指が腰に近いときには、腕の皮膚を手首のほうにずらしてか
ら小指側が手のひら側にまわる捻転につながるように腕の皮膚をかるくずらすのがよい人が多く、上腕がよ
いか前腕がよいかはさまざまなようです。直交の場合で手指が頭のほうに伸びているときには、腕の皮膚を
手首のほうにずらしてから小指側が手の甲側にまわる捻転につながるように腕の皮膚をかるくずらすのがよ
い人が多くなり、上腕がよいか前腕がよいかは人により違うようです。つまり、ずらす順番は大腿の皮膚ず
らしと正反対のほうがあとになります。正反対の方向に皮膚の張りをつくることでタワメの間ができるわけ
ですから。

 付け足し方や味わい方、終わり方は今までとほぼ同じです。終わったら、しばらくラクな姿勢で休んでも
らいます。この場合には、仰向けになって休みたがる人がやや多いです。

a)と同じ効果を脇腹への皮膚操体で出す
 横向きで胴体が捻れた姿勢がラクな場合には、脇腹の皮膚をずらすだけで気持ち良さが生まれる場合も多
いです。上になっている脇腹の腰骨寄りの皮膚をおなか側に、肋骨よりの皮膚を背中側にずらす(写真7)
ことをきっかけにしてみてイイ感じなら、続けます。付け足し方や味わい方、終わり方は今までとほぼ同じ
です。
画像の説明写真7

 脇腹をこういう風に少しずらすだけで胴体を捻ったのと同じ感じがするのは不思議な感じがしますが、実
際試してみると受け手側の感じとしてはほとんど同じことがわかっていただけると思います。

 横向きで体が捻れる形は、橋本先生が本に書かれた定番の操体としては「仰向け膝たおし」とほぼ同じで
す。胴体の捻れる角度は両方とも同じで、仰向け膝たおしは背中が畳などについているのに対し、横向き体
捻れは大腿側面が畳などについているだけです。つまり、この横向き体捻れで脇腹の皮膚をずらす操体は、
仰向け膝たおし操体のバリエーションの一つで、その中では、たぶん、いちばん動きが小さいものになるか
なと思います。

b)胴体が前屈する場合
 胴体がやや前屈しながら上側が畳や布団に近づいていく場合には、あいている手のひらの下部を肩と肩甲
骨の境目あたりに置き、手のひらで肩関節を包み込んで滑らないようにし、ゆっくりずれやすいほうにずら
します(写真8)。かるい力で動く範囲で。この場合には、肩は胴体をやや前屈させるようにしながら畳や
布団に近づけていく動きにつながる皮膚ずらしが良いことが多いです。また、それに合わせて、尻の皮膚ず
らしも体全体をやや前屈させる方向に向きを変えたほうが良いことが多いです。
画像の説明写真8

肩の手を肩甲間部に、尻の手を仙骨ちかくにうつし、肩甲間部の手は頭のほうへ、仙骨の手は尾骨のほうへ
ずらしたほうがよい(写真9)という人も多いです。両手でつくっている皮膚の張りが合わさって、体全体
に円を描くような感じになりながら、布団や畳に近づけていきます。
画像の説明写真9

 付け足し方、味わい方、終わり方は今までとほぼ同じです。終わったら、しばらくラクな姿勢で休んでも
らいます。この場合には、うつ伏せになって休みたがる人が多いです。

場A)足首ちかくの皮膚ずらしをきっかけに
 横向き寝・膝曲げ・上膝前の姿勢からの皮膚の操体は、尻ちかくの皮膚を膝のほうにずらす操体を気持ち
よいという人が圧倒的ですが、中には足首から先、とくに足の甲の皮膚ずらしをきっかけにするのが良いと
いう人もいます。

 言葉の通じる人には声をかけて、どちらの足の甲に意識がいきやすいか、どちらの足の甲の状態が気にな
るか、どちらの足の甲の状態を感じやすいかなど聞いて、どちらにするか選びます。上になっている足の甲
を選ぶ人が多いです。

 決めた足の甲の上に手のひらを置いて皮膚をずれやすいほうにずらすことをきっかけにします。上側の足
を選んだ場合は親指を足の甲の皮膚を親指側にずらしたり、足首のほうにずらしたりする(写真10)のが
良いことが多いです。下側の足を選んだ場合は、小指側にずらしながら指先のほうへずらすという動きが良
いという人が比較的多いです。後者の動きは基本的な連動とは違っていて興味深いです。
画像の説明写真10

 付け足し方、味わい方、終わり方は今までとほぼ同じです。

場B)膝曲げや、足首背屈から
 いままで説明した以外でも、たとえば、上になっている膝の大腿前面の皮膚を胴体のほうにずらしながら、
下腿前面の皮膚を膝のほうにずらす(写真11)ことをきっかけにすることもできます。これは上の膝の曲
がりを深くしながら胸のほうに近づける動きの操体を皮膚の操体にしたものになります。
画像の説明写真11
また、足の甲の皮膚を足首のほうへ下腿裏アキレス腱まわりの皮膚を踵のほうへずらす(写真12)をきっ
かけにするのがよいという人もいます。これは、爪先上げ、つまり足首を背屈をきっかけにしたりする動き
の操体を皮膚の操体にしたものになります。
画像の説明写真12
いままで書いてきた皮膚の操体でイイ感じが少ないときに試してみてください。実際のやり方は、いままで
のを参考に工夫してみてください。


場K)下の足の膝が前なら †
 下の足の膝が前の場合には、上になっている大腿の皮膚を尻のほうにずらす(写真13)動きが良いこと
が多くなります。そして、操体していくとわりと早くに姿勢が変わります。仰向けになるか、反対側を下に
した横向き寝の場合が多いです。本来はそういう姿勢のほうがラクな人が何らかの理由で最初の姿勢がラク
に思ってしまったという場合が多いようです。
画像の説明写真13

 もちろんそうでなく、この姿勢が本当にラクな場合もあると思います。そういうときには、いままで説明
したやり方を参考に操体してみてください。


場L)膝と膝が重なっていたら †
 横向き・膝曲げの寝方でも、膝と膝が重なっている姿勢がラクな場合には、お尻まわりの皮膚をずらすこ
とをきっかけにするよりも、膝同士をくっつけ合う動きにつながる皮膚の操体のほうが気持ちよい場合が多
いようです。膝の外側に手のひらを置き、膝のお皿のほうに皮膚をずらす(写真14)とよい場合が多いです。
画像の説明写真14

 受け手が言葉の通じる人なら、声をかけていろいろな動きを付け足してもらいます。この場合には、押し
合っている膝を頭のほうに動かしたり、足首を背屈したり、首を臍を見るように前屈したりする連動がうま
れる可能性が多いようです。ですから、操体になれてなくて連動がわからない人の場合には、「膝が胸のほ
うに動きやすくないですか?足首は反りやすそうに見えますが。おへそをみると気持ち良さが増えませんか?」
とか声をかけてみるのもよいと思います。


2)横向き寝で手の動きをきっかけに †
 横向き寝では足など下半身をきっかけにしたほうがイイ感じのすることが多いですが、手の皮膚ずらしを
きっかけにすることもできます。いろいろあると思いますが、代表例を説明します。


場J)手のひらを合わせて †
 横向き寝でラクな格好で寝た姿勢から、両手のひらを合わせます(写真15)。
画像の説明写真15
合わせた手のひらをまずどちらかに捻転します。イイ感じがするでしょうか? しない場合には、ほかの動
き(関節運動の4種8方向の中から)も試して、いちばんイイ感じのする動きを選び、操者はその動きが元
に戻らないようにホンの少し強調するように皮膚をずらして支えます(写真16)。
画像の説明写真16

 付け足し方などはいままでと同じです。


場K)両手小指を手のひら側に †
 横向き寝の姿勢から両手を合わせ、両手の小指がどちらも手のひら側に回るような手首捻転をします。つ
まり、両手の小指側を合わせた部分を中心にして両方の親指側が手の甲の側に回るような手首捻転をして、
だんだん手の甲同士が合わさっていくような動きをしてみます。イイ感じがしたら、操者はその状態が維持
できるように両方の手のひらを受け手の両方の手のひらに重ねて、ほんの少し親指側にずらすようにします
(写真17、18)。
画像の説明写真17
画像の説明写真18

 付け足し方などはいままでと同じです。この操体は肩甲間部を開きたがっている人に喜ばれます。


3)動きの操体を皮膚の操体にするのは簡単 †
 いままで書いてきたように動きの操体を皮膚の操体に置き換えるのは簡単で、手をあてている場所は同じ
で、そこを動かす代わりに手の下の皮膚をずらしていくものが多いです。そうでないものでも、どこの皮膚
をずらすと動きの操体と同じことになるか考えていけば、わりと簡単に皮膚の操体に置き換えられると思い
ます。いろいろ試し、ヤジウマしてみてください。


3.うつ伏せ寝で目立つところに皮膚操体 †
 ここまでは、動きの操体を皮膚の操体に置き換えてみました。前にも書きましたが、そのためには、動い
て動きやすいほうをみつける動診をしなくてはならないので、ためしに動診してみるのさえイヤがる人やひ
どく疲れていたりしてあまり動きたくなさそうなそうな人にはできません。

 そういう人に対しては、ラクな寝方で寝ている姿を観察し、そこから皮膚の操体をします。寝ている姿に
特徴がなくてわかりにくかったら、足指を少し揉んで逃げてもらって姿勢をくずしてから観察してみるのも
よいと思います。


1)目立つところを探す †
 仰向けやうつ伏せでは左右差をおもに利用して観察しましたが、横向き寝では左右差はあまり使えません。
全身をながめて、おおざっぱな歪みがなんとなくつかめるような勘を養っていくのが大切です。

 ただ、勘の働かせ方というか、見方のポイントみたいなものはあります。私がよく利用する観察のポイン
トを説明していきます。自然則のひとつとして利用してみてください。


場J)大腿上腕の向き †
 うつ伏せの皮膚操体のときにも書きましたが、観察のポイントのひとつは、大腿と上腕の向きです。ラク
な姿勢で、大腿と上腕の延長線や、大腿や上腕と手足の付け根で直交する線の胴体を通る延長上にツボが出
ていることが多いです。このあたり、うつ伏せのほうが分かりやすいので、うつ伏せの皮膚の操体を読み返
して置いてください。

 また、横向き寝の場合には、大腿と上腕に平行な線が胴体と交わるところも候補になります。とくに上半
身と下半身を前後違う方向にして体を捻っている場合には、胴体の捻れる腰椎部分がポイントになります。
そこを境に胴体を捻っていますので。


場K)背骨の捻れ曲がり †
 背骨が捻れていないか曲がっていないかも観察ポイントになります。

 捻れの場合には、下半身の背骨を軸にした回転と上半身の背骨を軸にした回転を比較するとわかりやす
いでしょう。横向き寝の場合には、さきほど書いたように脇腹、つまり腰椎の部分で捻れるか、そうでな
ければ、首、つまり頚椎の部分で捻れることが多いです。

 背骨が曲がりに関しては、横向き寝の場合には、歪みが少なければ、背骨が腰と肩のあたりと起点にした
懸垂曲線を描きますから、そういう懸垂曲線が不自然に折れ曲がっている感じのところを見つけるようにす
るのがポイントになります。目で見て折れ曲がりが見つけられない場合には、背骨の上を向いている側に反っ
て指をすべらせてみて、曲泉がスムーズに変化していない、ガクッという感じで折れ曲がっているようなと
ころを見つけます。

 左右前後の曲げと捻りが組み合わさっている場合があるのもうつ伏せの場合と同じです。

 また、腰椎が捻れや曲がりの境目の場合には、脊柱起立筋の脇腹にもっとも近い痞根や腰徹腹に出るのも
うつ伏せと同じで、比較的上になっている側が悪いことが多いし、皮膚操体もしやすいです。肩甲骨の外端
や骨盤まわりも比較的上側にツボが出やすいし、皮膚操体がしやすくなります。


場L)関連する手足を探す †
 胴体のツボが見つかったら、関連する手足のツボを探します。このあたりも基本的には、うつ伏せの場合
と同じですが、やはり、比較すると上側の手足にツボが出ている場合が多く、皮膚操体もしやすいことが多
いです。この場合の胴体と手足のツボの関係は、経絡的な相関で見つけるのが比較的簡単です。ツボ同士の
経絡的関係については、術伝HPの「操体もくもく」の「体は自然」に詳しく書きましたので、興味を持っ
た人は読んでみてください。胴体のツボを探すときにも参考になると思います。
http://yajiuma.pupu.jp/yajiumapuki/index.php?%C1%E0%C2%CE%A4%E2%A4%AF%A4%E2%A4%AF


場M)首・頭・尾骨を探す †
 背骨の延長でも、首や頭、尾骨は、手足がつながっていないので、胸椎から仙骨までとは探し方が少し違
います。このあたりも基本的にうつ伏せ寝の場合と同じです。


2)目立つところに皮膚の操体 †
 ツボが出ていそうなところが見当がついたら、さわってみて、その中で、表面の皮膚がずれやすいところ、
ずらしてイイ感じのするところ、ずらすと息が深くなる場所を選びます。受け手が言葉の通じる人なら相談
して決めます。胴体から2カ所選んでもよいし、胴体から1カ所、手足から1カ所選んでもよいです。両手
が届く範囲で選びます。


場J)手のひらでずらす(写真19) †
画像の説明写真19
 まずは動きの操体を皮膚の操体に置き換えたときと同じように手のひらでずらしていきます。1番目に選
んだところをずれやすい方向にしばらくずらしたままにしておきます。あいているほうの手は、2番目に選
んだところをずれやすい方向にずらしておきます。また、手首足首を捻ったり、手足の指を反らしたりする
のと組み合わせてもよいです。

 ずらしたままにして、気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、ずらし続けます。付け
足しやタワメの間、終え方は、いままで書いていたのとほぼ同じです。

 ずらしたあとにできる皮膚の張りを保つこと、2カ所していてその張りが正反対を向いている場合にはそ
のバランスを丁度よく保ちイイ感じのタワメの間が続くことを大切にしてください。


場K)指でずらす †
 次は、ツボをこまかく特定して指先、正確には指腹などを使って皮膚をずらします。

 この場合には、まずツボを直径1cmほどの範囲で特定します。手のひらで皮膚操体をしていれば手のひら
をあてるところは直径数cmほどに特定できていると思います。その中でいちばん凹んだところを探します。
直径数cmの円の縦横斜めに横切るように指を滑らせて、いちばん凹んだところを見つけます。押してイヤな
感じがしたらあたりです。が、麻痺して痛まないこともあります。そういうときは、まわりも押してみてい
ちばん凹んでいるか確かめればよいと思います。

 場所が細かく特定できない場合には、1本の指でなく、4指の先、というか4指の指腹を使っても構いま
せん。

 横向きからよく使うのは、脇腹から腰椎にかけて、胸椎の背骨の上側、首まわりの3か所のツボのどれか
に指先の皮膚操体をしながら、それと関連する手足のツボに指圧したり指反らししたりという組み合わせです。

 肩甲骨から頭寄りに体幹部のツボが出ていた場合には、手のツボ、手指との組み合わせが多いです。例え
ば、背骨の脇のツボへの皮膚の操体と指反らしの組み合わせ(写真20)、
画像の説明写真20
首の横のツボへの皮膚操体と手の指反らしの組み合わせ(写真21)、
画像の説明写真21
首の横のツボへの皮膚操体と前腕のツボへの指圧の組み合わせ(写真22)など。
画像の説明写真22

 体幹部のツボが肩甲骨下縁より下に出ていた場合には、足のツボとの組み合わせが多いです。例えば、横
腹のツボへの皮膚操体と下腿のツボへの指圧の組み合わせ(写真23)など。
画像の説明写真23
これも足の指反らしなどと組み合わせてもよいのですが、操者の手がゆったりとラクに足指に届かないと気
持ち良さが生まれにくいです。それよりも、横腹のツボと同じように下腿や大腿などのツボも皮膚操体とい
う組み合わせのほうが多くなります。また、足のツボに手が届かないときには胴体のツボを二つ組み合わせ
たりもします。

 そのほかにも、横向き寝寝からの皮膚の操体は、いろいろ工夫できます。受け手が違和感を感じるところ
と体の上下左右対角の対称点を選んで、その2カ所に皮膚の操体をするというのもよくします。いろいろ試
しヤジマウして、面白い方法を見つけてください。

 細かく言うと、指先でのずらし方もいろいろあります。ツボの上に皮膚がかるくピンと張った状態が作れ
ればよいのですから。例えば、親指と人指し指で間の皮膚を張る方法(写真24)は、まるで鍼の押し手を
広げたような感じで、鍼灸をしたことのある人なら、こういう方法のほうがやりやすい可能性が高いです。
画像の説明写真24
鍼を打たずにただ押し手をほんの少し広げるだけで、ツボが変化し、受け手の症状が改善したりするので、
びっくりされるかもしれません。手陰経のツボに押し手を広げる皮膚操体をして、おなかのシコリがゆるん
だりします。

 また、横向きだけでなく、仰向けやうつ伏せでも指先での操体は効果的ですし、臨床上よく使います。上
手になれば、細かいツボに対して鍼灸とほとんど同じ効果を上げることも可能です。ただし、ツボの場所な
ども鍼灸と同じくらい正確に特定できないと効果が出にくくなります。そのあたりの詳しい説明も必用にな
りますので、別の機会に「指先での皮膚の操体」という題で解説したいと思います。


4.横向き寝から重さの操体 †
 横向き寝からの重さの操体は、仰向けやうつ伏せと違って、片側の肩や腰が畳についているので、上側の
肩と腰を使って体重をかけます。受け手の上側の肩の前側と後ろ側、上側の腰の前側と後ろ側、その4カ所
に操者の体重をかけてみて、いちばん引き込まれる感じのするところか、言葉の通じる人ならいちばんイイ
感じのするところを選んで、そこにしばらく体重をかけたままにすることをきっかけにします。比較すると、
腰の前側にかける場合(写真25)と肩の前側(写真26)が多くなります。
画像の説明写真25
画像の説明写真26

 そして、腰にまず重さをかけたら肩の前後2方向、肩にまず重さをかけたら腰の前後2方向に試しに重さ
をかけてみて、イイ感じが見つかったら、イイ感じのほうに重さを軽くかけるのを付け足します。2番目に
重さをかけることを付け足すのがイイ感じがしない場合には、一つのところだけに重さをかけ続けます。

 2番目の重さかけを付け加えるのがイイ感じの場合に、肩と腰の両方に重さをかける組み合わせは、

①下半身が前、上半身が後ろ(写真27)
②下半身が前、上半身も前(写真28)
③下半身が後ろ、上半身も後ろ
④下半身が後ろ、上半身が前
画像の説明写真27
画像の説明写真28

の4種類になります。比較すると、①と②が多く、その場合は、タワメの間の時間、つまり、この重さの操
体をしている時間が長めになります。③と④は比較的少な目で、操体している時間も短めのことが多いです。

 2カ所目に重さをかけるのは軽くで、あくまでも1番目のほうに重さを充分かけることが初めは大切で、
そういう状態から重さの操体を始めます。もっとも、その割合が少しずつ変化していくことも多いです。引
き込まれていくように感じるときは重さのかけ方が足らないときで、押し返されたように感じたときは重さ
をかけすぎです。重さの配分を受け手のその時の状態に合わせて変えながらちょうどよいタワメの間が続く
ようしていきます。

 気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、体重を移した状態を続けます。言葉の通じる
人には声をかけて、首を左右どちらに回すと気持ち良さが増すか聞いて、気持ち良さが深くなるように首を
動かしてもらいます。両腕や両足も気持ち良さが深くなるような格好を探してもらいます。わずらわしくな
い範囲で。

 操者が体重をかけている場合には、受け手が姿勢を少しずつ変えていくのに合わせて、ちょうどよく釣り
合ったタワメの間になるように、操者も体重の掛け方を少しずつ変えながら支え続けます。とくに、2カ所
に重さをかけている場合には、重さのかけ具合の配分がイイ感じになるよう調整します。また、受け手が倒
れないように支えてあげたほうがよい場合もあります。

 受け手が大きく姿勢を変えたくなるか、息が浅くなったり、気持ち良さが感じられなくなるまで続けます。
言葉が通じない人の場合には、引き込まれるように感じられるときは続けてほしいというサインで、押し返
すように感じられるときには終わりにしてほしいサインです。

 終わったら、しばらくラクな姿勢で休んでもらいます。①、③、④は仰向けになることが多く、②はうつ
伏せになることが多いです(写真29)。
画像の説明写真29

 この操体は、こんなので効果があるのかなという感じを受ける人もいると思いますが、実は、現在の臨床
の場では大変効果が出る場合が多いです。うまく決まると、これ一つで受け手から「今日はもう充分です。
これ以上するよりも休みたいです」という言葉が出るくらい効果があがることもあります。そういうわけで、
じっくり練習して身に付けるようにしてください。


5.おわりに †
 以上簡単にですが、横向き寝からの皮膚の操体と重さの操体を解説しました。

 次回は、今までの寝方別の操体を組み合わせて、寝た姿勢での操体を連続して行う方法を説明します。こ
の寝た姿勢での連続操体は、臨床の場で操体を使う上で、もっともよく使う中心的な方法になります。じっ
くり練習してしっかり身に付けてください。

>>>つぎへ>>>術伝流操体no.21

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