和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

痼りに合わせた操体を予測

目標に合わせた操体を予測 †
•先回は、
「タワメの間では目標の痼りは消える」という話でしたが、
今回は
「目標の痼りにふさわしいタワメの間を予測する」
 という話を書きます。
◦先々回に
「タワメの間の姿勢で
 力が働く処に体が治したがっている処がある」
と書いた事と、先回の内容の組み合わせから、
勘の良い方なら直ぐ思いついてしまうかも知れない
当たり前の話かもしれません。
•つまり、
目標とする痼りがある場合に、
その時その方が採っている姿勢を少し変形していく事で、
その痼りが消えるようなタワメの間の姿勢に持っていけないかな
という事です。
◦それが出来れば、
気持ち良さが感じられるか、
息が深くなったか確かめてから、
それらのサインが続く間、その姿勢を維持すれば、
たぶん痼りは消えるんじゃないか
という事を期待しているわけです。

仰向け大の字に近い場合 †
•今まで試してきた経験で言うと、
受け手の方に色々な操体を続けて行っていって、
その日はもう充分かなという状態になると、
仰向けで大の字になる場合が多いのですが、
そうなった時に試してみるのが分かり易いようなので、
その状態での説明をします。
1.それでも、
まだ、何処か気になる処が無いか聞いてみて
有るようだったら、
そこに指を当てて様子を確かめておきます。
2.次に、
足の大腿部の延長線が気になる処を指すように
足の広げ方を調節します。
◦目標の痼りが右肩の場合には、
右足はほばそのまま伸ばし、
左足は右足よりも少し開いた格好になります。
3.腕も同じ様にするのですが、腕の場合には、
上腕の向きと直角で肩を通る線が気になる処を指す
 ように置いても良いです。
◦上腕の延長か直角の延長かは、
動かす前の腕の位置に近いほうを先ず試してみれば良い
 と思います。
4.そして、
その姿勢で気になる処のカワの操体をしてみると、
少し気持ち良さが深くなると思います。
5.空いている手で届く範囲の手足に動きを付け加えると、
もう少し気持ち良さが深くなるでしょう。
◦この場合、
i.上腕や大腿が気になる処の延長にある時には
その辺りの皮膚を気になる処から遠ざけるような
カワの操体をしても良いし、
それと同じ効果のある動きの操体をしても良いです。
ii.上腕が肩で直角になっている時には、
上腕の皮膚を上腕骨に対して直角に
気になる処から遠ざかる方向に捻るカワの操体をしても良いし、
それと同じ効果のある動きの操体をしても良い、
つまり捻ってみても良いです。
■つまり、どちらの場合にも、
気になる処の皮膚に引っ張るような動きが伝われば良いです。

目標の上の皮膚を引っ張る刺激が良い事が多い †
•いろいろ試してみましたが、
そういう動きのほうが、
気になる処へ近づけていくていくような動きが伝わる場合よりも
気持ち良さが深くなる場合が多かったのです。
◦右肩に目標の痼りがある場合には、
右足は小指側が足甲側に回るような足首捻転をしながら引っ張ると
気持ちよい事が多いし、
左足は少し開いた状態からなので
足首を立てた形で固定して引っ張ったほうが
気持ちよい事が多いようです。
■こういう大の字に寝た姿勢で
足首等の遠い所を切っ掛けにする場合には、
引っ張る動きのほうが遠くまで伝わりやすいせいかもしれません。
◦ま、
引っ張る動きが伝わるほうのやり方を試してみて
気持ち良さが深くならないようなら、
近づける動きなど他の動きが伝わるような方法を
試してみても良いと思います。
■また、
言葉が通じない方が受け手の場合には、
お腹に息が深くならなかったら
近づけるほうを試してみても良いし、
■大腿、上腕などの皮膚を目標の痼りから
遠ざかる方向と近づく方向の2方向にズラしてみて
ズレ易いほうにズラすか、
それと同じ効果のある動きの操体を
先ずやってみれば良いと思います。

6人係りの極楽操体 †
•講習会などで大勢の方がいらっしゃる場合には、
1.気になる処にカワの操体をしている方と別の方が、
手足それぞれを担当したほうが
気持ち良さが深くなりやすいです。
2.受け手役の方に首をいろいろな方向に少し動かしてもらって
気持ちの良い方向があったら、
それを少し強調するというか、
その首の格好を維持してあげる担当も作ると、
もう少し気持ち良さが深くなります。
◦全部で6人係りの操体操法になります。
■凄く気持ち良くて、
これは極楽だなとおっしゃった方もいました。
•操体は自力が基本ですが、
人にやってもらうほうが気持ちよい事が多いようです。
◦たまには、
こういう6人係りの操体操法も味わってみても良いのでは・・・
と思います。
•それに、
この6人係りの操体操法を受けてみると、
全身に連動する感じ、
からだ丸ごとの気持ち良さという感覚が
はっきり掴めるようです。
◦それまで全身に連動するという感じが
良く解らないとおっしゃってた方で、
6人係りで、しかも、
一人一箇所ずつ順に操体する所を増やしていく過程で、
少しずつ気持ち良さが深くなっていく感覚を味わってからは、
全身に連動すると気持ちよいという事が実感出来るようになった
という方もいました。

うつ伏せや横向きなど一般の場合の操体の予測 †
•さて、うつ伏せや横向き寝の場合には、
仰向き寝ほど単純ではなく、つまり、
気になる処に動きを伝える方法がいろいろあって、
手足や首、それぞれ一つずつ、
受け手の方と相談しながら、
言葉が通じない方の場合には
息がより深くなるように気を付けながら、
動かし方や皮膚のズラし方を決めていく必要があります。
◦それでも、
片手でカワの操体を気になる処、つまり、
目標の痼りにしている場合よりも
息がより深くなる事が多くなります。
■一人で行う場合には、
手足と首の5箇所のうちから、
受けての方の体が一番やってもらいたがる処や
息が深くなりやすい所を
付け加えれば良いと思います。

楽に手が届く所を選んで、同時に操体 †
•ただ、
操者の姿勢に無理があっては
気持ちよい操体になりにくいので、
手が楽に届く範囲の候補の中から選ぶ
 事になります。
◦楽な態勢で寝てもらって
頭や首や胴体にある痼りにカワの操体をする場合には、
上半身なら操者に近いほうの腕を選び、
その上腕の延長にその痼りが在るか、
上腕と直角の線の延長にあるか確かめます。
i.延長なら、
先ずその胴体の痼りと同じ面にある上腕の皮膚を
痼りから遠ざかるほうにズラしてみる事を切っ掛けにすると
気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。
また、
ii.直角方向なら、
痼りから遠ざかるほうに上腕の皮膚を捻る事を切っ掛けにすると
気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。

引っ張るだけでなく縮める方向の可能性もある †
•しかし、
ほぼ体が整って大の字に寝た姿勢から
足首を切っ掛けにする場合には
目標から遠ざかる方向が気持ちよい事が殆どだったのに比べると、
縮める方向にズラす事のほうが気持ち良さが増す
という可能性も結構高いので、
受け手の方に聞いて確かめたり、
言葉が通じない方ならお腹への息の入り具合を観察したり、
上腕部のカワのズレ易さを観たりして、
確かめると良いと思います。
◦先回書いた、
タワメの間で最も伸びようとしている所か、
最も縮もうとしている所に、
その時に体が治したがっている痼りがある事が多い
という話を思い出してください。
■それを予測に利用してわけです。

肘を膝で支える †
•余談になりますが、こういう風に
2箇所同時にカワの操体をする場合には、
時間が長くなって腕が疲れても
反対側の手で肘を支えたりする事が出来ません。
◦それで、
両足の膝を巧く使って操体している手の肘を支えると
長時間疲れないでカワの操体を続けられます。
■ベッドの上に受け手の方がいる場合には
膝で支えるのは難しいので、そういう場合には、
肘枕や膝枕を利用して、
カワ操体をしている手の肘を支えても良いと思います。

カワと同じ効果の動きの操体を組み合わせる †
•話を戻します。先ほど書いた、
目標の痼りと上腕の痼りに同時にカワの操体をする場合に、
上腕へカワの操体の代わりに
効果の似た動きの操体を腕にしても同じ様な結果が出ます。
◦つまり
上腕を引っ張るか捻るかするような動きが
生まれるような動きの操体をすればよいわけです。
■上腕を直接動かしても良いし、
手首を持って
上腕にそういう動きが伝わるような動きを切っ掛けにして
動きの操体をしても似たような効果は出せます。
•上腕の皮膚が目標の痼りに近づくほうにズレ易い場合には、
i.その方向に上腕を肩関節に押し込んでいく動きが
一つ切っ掛けになります。
 が、それ以外にも、
ii.上腕のその時皮膚ズラしをしている面と
目標の痼りが近づくように
上腕を目標の痼りのほうに曲げていく動きも
気持ちよい可能性が高いです。
■これは逆に考えれば、
そういう動きがやりやすい場合には
上腕の皮膚は目標のほうにズレ易くなるからです。

目標から手を離して、両手で予測した操体をする †
•このように、
目標となる痼りに対して動きの操体も
或る程度予測していく事が出来ます。
•しかし、
片手では動きの操体はやりにくい事もあります。
◦そういう時には、
目標とする痼りに当てている手を離して
両手で予測できた動きの操体をしてみる
のもよいと思います。
■もちろん、
受け手の方が気持ち良さを感じられるか確認しながら、また、
言葉が通じない方の場合には息の深さを確認しながら行います。
◦その動きの操体が終わった後で、
目標の痼りに変化があったかどうか確認してみてください。

関連する痼りが大腿の場合 †
•下半身に痼りがあったりして
操者のもう一方の手が楽に大腿部に届く場合には、
大腿にカワの操体が出来ますが、
これも手が楽に届くほうの大腿を選び、
その大腿が痼りのあるほうに向いていれば、
その痼りから遠ざかるほうに皮膚をズラす事を切っ掛けにする
のを先ず試してみると良いと思います。
•この場合、
動きの操体としては、
大腿部が目標を向いていて、しかも、
目標から遠ざかる動きを切っ掛けにする操体操法が
気持ち良さを感じられる可能性が高くなります。
◦つまり、
足を引っ張る場合には、
大腿部の延長が目標の痼りを指すように
足の開き具合や足首の高さを調節する必要があります。
■足を引っ張るのは片手では出来ないので、
目標の痼りから手を離して引っ張って、
終わってから目標の痼りが変化したか確認する
というやり方になります。

近づくほうが良い場合 †
•この時にも、逆に
目標に近づく方が気持ちよい可能性もあります。
◦その時には
大腿の皮膚をその方向にズラすカワの操体をする
と良いでしょう。
◦動きの操体としては
大腿を押し込む動きの他に、
大腿と目標が近づくように
股関節を曲げていく動きも候補になるのは、
上腕の場合と同じです。
■もちろん、
大腿を動かすのは、
腕よりも片手で動かすのが難しい事が多いわけで、そ
ういう場合には、先ほども書いたように
目標の痼りから一度手を離して、
終わってから変化を確認するという方法になります。

股関節が深く曲がっている場合 †
•股関節を深く曲げて
大腿部と直角になる線が目標に向いている場合には、
大腿の皮膚を捻るようにズラしながら目標から遠ざかるような
切っ掛けが気持ちよい可能性が一番高いですが、
逆に
皮膚を近づけるほうの可能性もあるのは今までと同じです。
•この場合には、
動きの操体としては、
膝倒しか膝戻しの動きが似たような効果を生む可能性が高いです。
◦膝戻しというのは膝倒しの反対で、
倒れている状態の膝を戻してくる動きの事です。
■この場合にも
片手で出来ない場合には
目標の痼りから手を離して両手で行い、
後で目標の痼りの変化を確認します。

目標が解っているのに予測しないで失敗した例 †
•言葉だけだと伝わりにくい内容かも知れません。
巧く伝わりましたでしょうか?
•先日なかなか腕が後ろに回せない方がいました。
◦いろいろ試した結果
真っ直ぐ腕を伸ばしたままなら
後ろに回せるようになったのですが、
そこから肘を曲げる事が出来ません。
■この状態からなら
肩胛骨が動かないと肘は曲げられそうに無いなと思って
肩胛骨周りを調べてみたら、
肩胛骨の背骨側の上縁付近が広い範囲で硬くて、
肩胛骨が動きにくい事が解りました。
•慢性期の肩こりなどに効果が高いので良く行っている
うつ伏せの状態から肘を持ち上げてみる操体をしてみました。
◦すると、
上腕がその肩胛骨内上縁の方向を向いた状態で持ち上げると
一番気持ちよいという事で、
息も凄く深くなりました。
■息が落ち着いてから試してみると、
肘を30度近く曲げられるようになりました。
•この操体は、
肘を脇腹のほうに近づけるほうに持ち上げると
気持ちよいという方が7割を越えるので、
始めそっちのほうに動かしたら
痛くて駄目と言われてしまいました。
◦目標とする場所があったのだから
今回書いた内容を思い出して、
始めに上腕の向きを痼りのほうに向けた姿勢を試して見れば
痛い思いをさせないで済んだかなと反省しました。

目標が違うと予測は外れやすい †
•今回は、
痼りの在る所に力が伝わるように
大腿や上腕の位置決めをするという視点で、
目標とする痼りに合った操体を予測する
という話を書きました。
◦もちろん、外れる事もあります。
◦目標とした痼りが
その時に一番、受け手の方の体が治したがっている痼り
で無い時に
外れる事が多くなります。
■体はその時一番治したい痼りに合わせた操体を選びますから。
•そういう点に注意しながら、野次馬してみてください。

次回は、「痼りの在る筋肉を縮める動き」 †
•次回は、痼りから操体を予測する事の2回目で、
「痼りの在る筋肉を縮める動き」というテーマで書きます。
◦これも勘の良い方なら当たり前の話だろうと思います。
■そして、次々回は、
カワの操体と痼りとの関係に進んでいきたいと思います。

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