和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

痼りとカワの操体

痼りの周りの筋肉を緊張させるとタワメの間が出来る †
先回は、
痼りの周りの筋肉を働かせ緊張させていって、
痼りと同じかそれよりほんの少し余分に緊張させた状態にすると
タワメの間になるようだ
 という話を書きました。

•ちょっと考えてみると不思議な現象です。
筋肉を働かせすぎて痼りが出来たのに、
痼りのある筋肉を少し余分に働かせ緊張させる状態を作ると
気持ちよくて、お腹の息も深くなって
(という事は副交感神経優位になるという事かな)、
その状態を暫く維持していると
痼りが消えていくのですから。
◦こういう点も、
西洋医学をやっている方々から
操体があまり評価されない原因の一つになっている
のかもしれません。
■しかし、
これだけ成果があがっているというか、
実際にやってみれば確かめられる事なのですから、
生理学的な実験を沢山行って
根拠を明らかにしていって欲しいなと想います。

脹ら脛の筋肉は、つま先立ちで使われる †
•また、
脹ら脛の筋肉ですが、
立った姿勢で膝を伸ばしたまま足首を伸ばす時、つまり、
つま先立ちになる時に一番使われるようです。
◦すると、
その姿勢を暫く維持すると膝裏の痼りが消えるかもしれません。
■そんなことをいろいろ試していたら、
気功太極拳で有名な楊名時先生の気功・八段錦の
第8番目がその格好をしていたのに気が付きました。

つま先立ちの気功で膝裏の痼りは消えるかな? †
1.両足を開かないで付けて爪先をそろえて
膝を伸ばして立ち、
2.息を吸いながら踵を上げていき、
3.腕を垂らして手の甲を反らし、
手の平を下に向けて
押さえつけるような感じでバランスを取りながら、
踵を上げた状態を暫く保ち、
4.息を吐きながら
体の力を抜き踵を落とす。
◦説明書に「この気功は沢山の病に効く」とあります。
■今度講習会の時にでも
この気功の前後で
膝裏の痼りの状態を確かめながらやってどうなるか
試してみようと想っています。
みなさんも試してみて下さい。
■膝裏の痼りが取れるから
沢山の病に効くのかも知れません。
橋本先生が爪先上げを晩年一番やっていた
という事と通じる物を感じます。
•逆に言えば、
ハイヒールを履いた女の方は膝裏の痼りが出来やすい
と言えるのかなとか想いました。
◦そして、それが、
下半身の歪みを呼び、
いろいろな病気の素になっていくのかもしれない・・・
 とも思いました。

楊先生も晩年「ふっくにゃぁ」系の脱力をしていた †
•それに、もう一つ面白いのは、
この八段錦の第8番目の脱力は、
本では「パッストン」系の説明をしているのに、
楊名時先生ご本人は
90年前半には道場での稽古の際に
「ふっくにゃー」系に脱力されていた事です。
◦橋本先生も晩年にご自身で一人操体する時には
パッストン系の瞬間脱力は余りされなかったようですし、
東京・三軒茶屋の三浦先生も
80年代後半には
ふっくにゃー系の脱力をしたがる受け手の方が多い
と説明されていました。
■達人の方は、みなさん、
時代による体の自然の変化に合わせるのかな
 と想いました。

痼りとカワの操体の位置関係 †
•さて、今回は、
痼りとカワの操体の関係について
 書いていきます。
◦カワの操体を目標の痼りに行っている時には、
指は痼りの真上から少しずれた所に在ります。
■それなのになんで効くのかなという事について、
今までいろいろ考え試してきた事を書いていきます。

皮膚をズラしたあとに出来る張りを維持する †
•このごろ感じているのは、
カワの操体で一番大切なのは、
皮膚をズラす事よりも
ズラした後(あと、跡?)に出来る
皮膚表面の張りを同じ状態に保つ事
 なんじゃないかなという事です。
i.カワをズラしている指や手の平が
振るえたりブレたりして、
ii.後ろに出来る張り、
ズラした後ろの皮膚表面の張り具合が変わってしまうと、
iii.感じていた気持ち良さが消えてしまうようで、
iv.受け手の方からも
「違った」「気持ち良さが消えちゃった」
と言われる事が多くなります。
■この事と先ほど書いた
「カワをズラすと、
 カワの操体をしている指や手の平は
 痼りの真上から外れる」
  という事を考え合わせて、このごろ、
カワの操体は、
痼りの上の皮膚がピンと張った状態を暫く保つから
効果が出るのかな
 と考えています。
1.ツボの上のカワがピンと張った状態になり、
ピッタリと痼りの在る筋肉にくっついた状態になると、
2.暫くしてお腹の息が深くなり
気持ち良さも生まれ、
3.その状態を維持していると、
4.また暫く経って
お腹の息が元に戻る頃には
気持ち良さも消え、
ズレ易かったカワがズレにくくなり、
痼りが小さくなり、
巧く行けば痼りが消えてしまうようです。

ツボ上の皮膚の張りを保つ工夫 †
•ズラした後ろに出来る皮膚表面の張りを維持するために、
達人の先生方は色々工夫されています。
1.東京・三軒茶屋の三浦先生は、
小さな痼りにカワの操体
(三浦先生は「渦状波」と呼んでられます)をする時には、
中指で皮膚をズラした時には
薬指か人差し指の下の皮膚を正反対の方向にズラしています。
◦こうすると、
小さなツボの上の皮膚がピンと張った状態を
長い間保つのがやりやすくなります。
2.京都のマル先生は、
皮膚をズラす前に、
手の平や指腹を
痼りの上の皮膚に張り付けた状態にしてから
ズラす事を勧めています。
◦これも、そのほうが、
長時間痼りの上の皮膚表面の張りを保ちやすい
からだと想います。
■ピッタリ張りついていれば、
伝え手の指や手の平と受け手の方の皮膚が滑って
張りが無くなってしまうのを防ぐ事が出来ます。
3.三浦先生のやり方を応用して、私は
両手で大きめのツボに
互いに正反対の方向のカワの操体をしたりもしていますが、
そうするとカワの操体が効果が上がる確率が増す
ような気がしています。
4.この方法は、
主になるカワの操体と正反対の張りを
動きの操体で作るという方法でも可能です。
◦例えば、
手首や足首の痼りに対してカワの操体を片手でしながら、
もう片方の手で
その痼りの延長線上の指を反らせてみたりします。
■手首の手平側小指側を狙う場合に、
痼りの上のカワが指と反対側にズレ易い場合などが
巧く当てはまります。
■小指の薬指寄りの手の平側か、
薬指の小指よりの手の平側を少し反らすと、
ちょうど痼りの上の皮膚がズレ易い方向と
正反対の動きを作り出せ、
カワの操体だけをした場合よりも効果が出やすい
ように想います。
■特に、
指をどちらかに捻りながら
ほんの少し反らせるようにすると
巧く行く確率が上がるようです。
■試してみてください。

肘を支えるのも役に立つ †
•また、余談になりますが、
カワの操体をしている腕が宙に浮いていると、
直ぐ腕が疲れてしまって
指先がブレ易くなり、
痼りの上の皮膚上面の張りを
ピンとした状態に保つのが難しくなるようです。
◦そのため、
片手で行っている時には
反対側の手で
カワの操体をしている手の肘を支えたほうが安定するので、
張りを一定に保ちやすくなります。
◦また、
両手で行っている時には、
両方の肘を両方の膝や大腿部で支えると安定します。
■そのためにも、
目標とする痼りに操者のお臍を出来るだけ近づけて、
カワの操体をしている所から両肘までの距離が同じくらいに
なるようにしたほうが効果を出しやすくなります。

痼りの上が皮膚が張っていると痼りが消える理由? †
•さて、なんで
痼りの上の皮膚を張った状態に保つと
痼りが消えやすいのでしょうか?
◦張りを暫く保っていると、
痼りの上の皮膚と痼りがある筋肉が
ピッタリくっついた状態が続く事になります。
■そういう僅かな刺激で痼りが消えている事になります。
不思議な事ですね。
◦でも、
そういう僅かな刺激でも、
気持ち良さが生まれてくる事ははっきり解るし、
張りがほんの少し緩んでも気持ち良さが消えてしまうのは、
カワの操体を受けた事がある方なら、
みなさん経験されているでしょう。
■それに、
張りが保たれていれば、たいてい
お腹の息も深くなっていきます。
•体が必要としている刺激だから、
気持ち良さも生まれるし、
お腹の息も深くなるのだと想います。
◦ですから、
この僅かな刺激が効果を上げている事ははっきり解るのですが、
どういう仕組みなのかなーと、
ずーっと考えていますが解りません。
■誰か解った方は教えて下さい。

カワの操体と、皮内鍼や粒鍼は似ている †
•それで、
似ているなと想うのは、
鍼の世界で使われる皮内鍼や粒鍼です。
i.皮内鍼は
太さが0.12mmで長さ3mmから5mm位の鍼を
表皮の下に皮膚にほぼ水平に1mmから3mmくらい刺して、
その上に絆創膏を貼っておく方法です。
■鍼を刺している感じはしません。
絆創膏が貼られた感じのほうは感じますが。
それでも痼りは消えます。
ii.似た方法で円皮鍼と言って、
長さ1.5mmから0.6mmの鍼が
絆創膏に垂直についている物がありますが、
こちらはちょっと痛いです。
■でも、円皮鍼でも
長さ0.6mmの鍼なら殆ど痛くありません。
iii.また、粒鍼と言って、
直径1.2mm位の金属の粒を絆創膏で張り付ける
やり方もあります。
•皮内鍼・円皮鍼は皮膚を破る時に電気が流れるため、
粒鍼は金属が錆びる時に電気が流れるためだ
とかいう説明を聞いた事がありますが、どうなのでしょう。
◦生理学的に研究してみたら面白そうな現象だなと想っています。

ツボが正確に取れると効果が出やすい †
•どの方法でも
ツボの真上に正確に張る事さえ出きれば効果が現れるようです。
◦と言っても
1、2mmずれても効かない事が多いので
楊枝の頭などで細かくツボの場所を特定しないと巧く行きません。
•面白い事に、
張った下の痼りが消えるだけでなくて、
経絡的に関連する位置にある痼りも消える事です。
◦手の小指や薬指の辺りやその延長上の手の甲に張っておくと
肩こりに効きます。
■この辺りもカワの操体に似ているなと想います。

カワの操体もツボとりが難しい †
•カワの操体にしても、
こういう小さな鍼や金属の粒にしても
刺激は極僅かです。それでも凄い効果が出てきます。
•ただ、刺激量が少ないせいか、
ツボ取りは
普通の鍼や動きの操体などよりは難しくなるようです。
◦私自身、
初めのうちは
講習生同士でカワの操体をした時だけにしか
効果が出せませんでした。
■受け手の方に指定してもらえないと、
何処にカワの操体をしたら良いか解らなかったからです。
◦ツボがある場所を正確に取れるようになって、
確実に効果が出せるようになりました。
■このあたり、みなさんは、どう思われますか?
•私は、
カワの操体で難しいのは、
指や手の平を当てる場所を見付ける事
 じゃないかなと想っています。
◦カワの操体をする必要のある場所さえ解れば、
後は其処の上の皮膚を少しズラして
張った状態を保っているだけで良いのですから。

経絡指圧も、カワの操体に似ている †
•それで、
カワの操体にもう一つ似ていると思うのは、
増永静人先生の経絡指圧です。
◦余談ですが、
増永静人先生は、橋本敬三先生から操体を習い、
その体験から経絡体操という物を考案されています。
•さて、経絡指圧では、
痼りに対して垂直に一定の圧を掛け続ける事を大切にする
 のですが、
この時に受ける感じが
カワの操体を受けている時と良く似ています。
◦親指などで指圧されている時は
狭い面積に圧を感じるので、
カワの操体とは少し違う感じを受けるのですが、
肘から前腕を使って指圧(経絡指圧では肘や前腕を良く使います)
されている時には、
圧が分散されてしまうせいか、
カワの操体を受けている時と良く似た感じを受けます。

皮膚の張りを保つ事と、垂直圧を保つ事 †
•カワの操体の時には、
ズラした後に痼りの上の皮膚が張った感じになる事は説明しましたが、
この時に痼りには
張った皮膚から垂直の圧が痼りのある筋肉に伝わる
 のかなと思います。
◦そうすると、
経絡指圧とカワの操体が似た感じを受けるのは当たり前
 かなと思います。
•カワの操体の場合には、
実際に圧そのものが伝わっていると言うよりも、
圧が伝わってくるかも知れないと言う情報が
痼りになっている筋肉の中にある感覚神経(筋紡錘など)に
伝わっているだけかもしれません。
◦動きの操体と同じ効果のあるカワの操体をする時にも、
痼りになっている筋肉を緊張させようとする力が
実際に働いているわけではなく、
緊張させようとする力が伝わってくるかも知れないと言う
情報が筋肉の中の感覚神経に伝わっているだけなのかもしれません。

痼りは、垂直圧を感じると緩みやすい? †
•こうして考えていくと、
痼りになっている筋肉は、
筋繊維の方向に緊張させようとする力や
筋繊維と垂直に圧をかけようとする力を、
それらの力が
痼りになっている筋肉の過緊張具合と同じか少し余分に
緊張させようとする働きとして、
暫く感じている状態が続くと緩む
 という事なのでしょうか?
◦この辺りは
生理学的な実験を沢山行って確かめていただきたいな
 と思っています。

次回は、胴体の歪みと手足の歪み †
•今回は、
痼りとカワの操体の関係から思いついた事を書き出してみました。
•次回は、
胴体の歪みと手足の歪みの相関関係から、
どちらを先に無くすかという話に進めていくつもりです。

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