和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

病は、まず三陽一陰に分ける

病は、まず三陽一陰の四つにわける †
基本的に、鍼灸治療では、病はまず三陽一陰の四つにわけます。

1.「太陽の病」(「後ろの病」)
2.「陽明の病」(「前の病」)
3.「少陽の病」(「横の病」)
4.「陰の病」 (「内の病」)
•これは、藤木俊郎先生が『素問医学の世界』などで
経絡のもっとも古い形が「三陽一陰」
と書かれていたことをもとにしたのですが、
なかなか臨床の場で使いやすい考え方だなと思っています。
◦くわしくは病証編で取り上げますので、ここでは簡単に説明します。

太陽の病 †

特徴 †
•太陽の病は、体の後側におもな症状が出る病で、
痛みが激しいことが特徴です。
◦人間の体は、
背骨をさかいに後ろの筋肉で前の内臓をささえています。
■四つ足の獣(けもの)のころに、
背骨をさかいに上の筋肉で下の内臓をつっていたなごりです。
◦痛みが激しいという特徴があるのは、
この後ろの筋肉がコり、硬くなると、
そのあいだをとおる感覚神経の根本を圧迫するためだろうと思います。
•典型例は、座骨神経痛で、
悪いほうの尻中央の
見た目にはいちばん出っぱっていて、押すとヘコむ、
いわゆる尻えくぼの表面がペコペコに大きくくぼんでいて
奥の底に硬いシコりがあります。
◦解剖学的には大座骨孔とよばれるところで、
そこの奥の筋肉にシコりができて座骨神経をはさんでいる
 ために症状が出ます。
•こういう末梢神経が
体の奥から皮膚表面近くまで上がってくるところで、
奥の筋肉にシコリができていると、
そこから末梢よりが痛んだり、シビレたりします。
◦三叉神経痛などのときには耳の頭頂部よりになります。
•太陽の病のほかの代表例は、上部は肩こり、下部は腰痛です。

治療の概略 †
1.急性の場合、ラクな姿勢で、
まず関連する陽経の手足甲に引いたあと、
患部にかるく刺鍼し、
そのあと関連する陽経に出ているツボを探しながら
刺鍼していきます。
◦探す順番は、
患部に近い側から、だんだん末端である手首足首のほうへ。
◦刺激の強さは患部近くは軽く、末端は強めにします。
2.そして、治療をおえるまえに動いてもらい、
痛い一歩手前、動かせない一歩手前で止まってもらい、
引っかかるところに刺鍼すると、
痛くなく動かせる範囲が広がります。
◦この刺し方は、動作鍼といい、
関節可動域制限を改善するのにとても効果的です。
3.おわりに、関連する陽経の手首足首よりさきに
強めに引いて仕上げます。
◦基本的には、肩なら手陽経で手甲、
腰なら足陽経で、足甲の陽経側を使います。
•くわしくは、実技編の「病証」のほか
「運動器系応急処置」を参考にしてください。

陽明の病 †

特徴 †
•陽明の病は、体の前面におもな症状が出る病で、
ツボが浅く、熱が高く、動きが速いことが特徴です。
◦邪気が顔や前頭部に衝(つ)きあげる上衝をともなうことが多く、
陽性の精神症状が出やすくなります。
■また、ときに虚す場合もあり、
そのときは陰性の精神症状をともないます。
■基本的に、頭のほうが実し、足もとが虚す病態
 と考えればよいと思います。
•代表例は、更年期障害やかんの虫、熱射病などで、
不眠は、太陽の病と陽明の病の合病であることが多いです。

治療法の概略 †
•邪気を散らし、熱を下げることと、手早い刺鍼が大切で、
腹の虚があれば補(おぎな)います。
◦合谷に強めに引き鍼したあと、
前頭部あたりの熱いところを散鍼し、
また、手陽明経に引き鍼をすると、
上衝を下げられることが多いです。

少陽の病 †

特徴 †
•少陽の病は、体の横側、側面におもな症状が出る病で、
ツボが深く、変わりにくいこと、ぶり返しが多いことが特徴になります。
◦そのため軽くても治りにくい病は、
少陽位にツボを探すと改善できる場合が多いです。
•代表例は、脇痛、めまいや耳の病など体の横側に関係する病のほか、
喘息、アトピーなどのアレルギー疾患です。
•花粉症などをふくめ呼吸器系の慢性疾患をともなう場合には、
肩胛骨外側縁(肩貞ちかく)にツボが出ます。
◦横から肩胛骨と肋骨のあいだにむかって押すと痛いので
ツボが出ているかわかりやすいです。
■そこにツボが出るので、肩甲骨の外側上部が引かれ、
そのため肩甲骨内側上部が出っ張ってきて、
肩甲間部が下がとがった逆三角形にヘコんで見えることが多くなります。
夏など薄着のときには
歩いている姿を後ろから見ただけでもわかる場合が多いです。

治療法の概略 †
•体の横側のバランスを調整していきます。
◦頭から足のほうにみていくと、
コリが出ている側面が途中で入れ替わっていることもあります。
■その場合には、その境目をみつけるのがポイントになります。
•治りにくいし、ぶり返しも多いので、
時間がかかることを患者さんに伝えておくことも大切です。
■治っていく過程で昔の症状が出ることを繰り返すことも多いです。

陰の病 †

特徴 †
•陰の病は、体の内側におもな症状が出る病で、
すべての病は、陰の病の面があるともいえます。
◦陰の病は、経絡で分類するよりも、
上焦、中焦、下焦の上下横輪切りに分類したほうがわかりやすいです。
•病が動かないときには、
上焦は邪気、中焦は水毒、下焦は悪血(ときには食毒も)が多く、
これは、基本的に重さによるのだろうと思います。
◦つまり、重いモノが下になっています。
■どぶろくを静かで冷たいところにほっておいた状態によく似ています。

治療法の概略 †
•手足に引き、背(陽)に引き、
邪毒を少しづつ減らしていきます。
◦腹診をして腹のシコりを探し減らしていくことも大切になります。
•陽の病も急性期をすぎたら、陰の病からの影響を考え、
腹のシコりを減らし、体の内側も整える治療と組み合わせると、
再発をふせげるし、体全体の生命力がふえます。
◦急性の病は、体が発する危険信号、養生をうながすサイン
 と考えるとよいです。
■とくに陰の急性症状の場合は、
いま、表位、上焦、中焦、下焦のどこでおもに邪毒の動きが激しいか
見きわめられると、治療手順が決められます。

古い病 †

特徴 †
•古い病は、体の境目(さかいめ)にツボが出やすくなります。
◦少陽は前後のさかいなので、その病は古いことが多くなります。
◦ほかの病でも古くなると、
a.少陽位のほか、
b.内側の前後のさかいの厥陰、
c.手足と胴体のさかいである上下境界の横隔膜あたり、
d.左右のさかいである任脈、督脈やその近く、
  つまり、背中側では華陀経、腹側では腹の腎経
   にツボが出やすくなります。
■このように、古い病のときに古いツボが出やすい場所は、
だいたい決まっています。
くわしくは、実技編「応用」の「古い病、古いツボ」を見てください。
•古くなるとツボが境目に出やすくなるのは、
はじめは、歪んだ体にかかる負荷を、
筋肉のいちばん太い1行線付近で支えるので、
そこにツボが出ますが、
だんだん支えきれなくなり、
そのわきで支えるようになるからだろうと考えています。

治療法の概略 †
•こういう古い病はユックリすこしづつ治していくことが大切です。
◦すこしづつ古いツボを減らしていきます。
■ひとつ古いツボを減らすと、
あたらしく古いツボが出てくることもあります。
順番に減らしていきます。
◦鍼のみで変わりにくい古いツボには
灸や灸頭鍼も使ってすこしずつ変えていきます。
■とくに灸頭鍼で熱を体の奥に届けられるような工夫ができると
古いツボの変化が速くなるように思います。

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