和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

片麻痺

[1]基本的に †
 脳梗塞など中枢神経性疾患による片麻痺症状の改善について取り上げます。

 急性期は、もちろん救急医療にまかせますが、症状が落ち着いたら、指先への刺激
だけでも早く始めたほうが良い場合が多いです。ただし、時間が掛かりますし、脳内
細胞の破損量が多いと途中から改善が停止することも多いです。

 基本的には、先ず以下のポイントを押さえながら、体全体の歪みを整えていきます。

1. 指端、骨空など指先のツボに直接灸をして、熱さから逃げる動作を誘導し、動いた
 ことで自覚できるようになった痛い場所付近に出ているツボを改善する。

2. 首を中心に、鎖骨肩など、脳への血行の妨げになりやすい痼りを緩める

3. 皮膚表面の温度差や感覚の有無の差の境目を見付け、その少し中枢よりに出ている
 ツボを改善する。

4. 脳の破損個所に近い頭の表面から邪気が出ている事が多いので、そこに刺鍼する。
 また、経絡的に関連する手甲や足厥陰などに引く

5. 腹など古い歪みが出やすい部分にツボが出ていたら、改善する

6. 脳梗塞の場合には悪血を取り除く漢方薬や食養も大切になる


[2]ツボが出やすい処、狙い目 †

(1)指先 †
 指端を始めに、井穴、骨空、節紋、指裏横紋中央など、患者さんの姿勢に合わせて
灸しやすい指先付近のツボに熱い透熱灸をして逃げる動作を誘導します。足の場合に
は足裏の着地曲、失眠なども使います。

 患側を中心にする事が多いようですが、脳の損傷部位は逆側ですし、巨刺的な意味
もあるせいか、健側にも行ったほうが変化が早い感じがしています。

 時間がないときには、マヒ側は、いちばん逃げる動作が出やすい指、健側は、熱さ
を感じにくい指を選んで、透熱灸をします。

 重くて足が全然動かない状態の時には、患側を上にした横向き寝で重力の影響を受
けない状態で灸をして逃げてもらい、或る程度動くようになったら、仰向けで行い、
良く動くようになったら、座位で重力に逆らって逃げるようにしていきます。


(2)指先の熱さから逃げて痛みの出た処 †
 指先の灸で熱さから逃げる動作が出ると、今まで動かなかった処を動かすせいか、
その動きによって、痛む箇所が自覚できるようになる事が多いです。痛みが出た箇所
の周りを調べツボを見付けて刺鍼します。

 足の場合には、腰~大腿~硬いなど足の動きに関係する筋に、手の場合には、肩~
上腕~前腕など手の動きに関連する筋にツボが出ます。

 このツボは深く、骨の直ぐ上にある事が多く、ツボの底の痼りは硬いゴムのような
感じを受けます。少し刺さるのですが、下や横に逃げやすく緩みにくいです。撚鍼な
どで痼りに鍼を刺し入れ、灸頭鍼をすると比較的緩みやすいです。

 ツボが緩むと、指先の灸で逃げる動作が少し大きくなり、また別の場所に痛みを感
じるので。ツボを探して緩める、この繰り返しです。患者さんが痛みを自覚しない場
合には、逃げて止まった姿勢をよく観察し、動作鍼の要領でツボを探して刺鍼します。


(3)脳への血流の改善 †
 首を始めとして鎖骨周りや肩など脳への動脈が通っている箇所に痼りがあると脳へ
の血流が少なくなるようです。その辺りを調べツボが出ているようなら、その奥の痼
りを緩めておきます。


(4)皮膚表面の温度差や感覚差の少し中枢より †
 皮膚表面を触って温度差の境目が見付かる事があります。また、触られている感じ
が解る処と解らない処の境目が見付ける場合があります。そういう場合には、その境
目の少し中枢より(脳より、心臓より)にツボが出ている事が多く、そのツボの奥の
痼りを緩めると、境目が少し移動します。また、ツボを探して緩めるを繰り返します。


(5)脳損傷部位の頭の表面 †
 脳損傷部位に近い頭の表面から邪気が出ている事が多いです。そこに刺鍼して邪気
を散らし、関連する手甲などに引いておきます。頭のてっぺんの場合には足厥陰が関
連経絡になります。

 邪気が感じられない場合は、CTやMRIの図から損傷部位に近い頭の表面を推定
します。


(6)手指を動かす筋の筋腹 †
 改善が進んで、手指の動きの悪さが残った場合には、手指を動かす筋の筋腹付近を
探してツボを見付けます。指を他動的に少し動かしながら探すと探しやすいです。前
腕の最も太い部分に多いですが、親指の場合には、手平の母指球にも出ます。


[3]手順 †
 重い場合には、指先の球で逃げる動作を誘導するのが中心になります。直ぐに逃げ
る動作が出なくても根気よく続けてください。高麗手指灸用の糸もぐさを使えば患者
さんご本人やご家族にもしていただくこともできます。爪と指先の間に挟むとやりや
すいです。

 姿勢が仰向けになれるようでしたら、慢性期の型で腹の痼りなども緩めます。また、
脳への血流を考え首周りにも刺鍼し、頭の損傷部位の近くへ刺鍼し、手甲へ引き鍼し
ておきます。

 動きが出たら、痛みの出た処を見付け鍼や灸頭鍼で改善していきます。

 動きが出なくても皮膚の温度差や感覚差が解った場合には、ツボを探して刺鍼します。

 仕上げに、再度、手指の指先に灸します。

 長い治療となる事が多いので、根気よく、少しづつ粘り強く取り組んでいきます。
患者さんやご家族とのコミュニケーションを密にし、治療が楽しめると改善が進みや
すいようです。

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