和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

手順が大切、型はまず体で覚える

手順が大切 †
•鍼は手順が大事です。
◦同じ配穴、つまり同じツボを同じ数えらんだとしても、
手順をまちがえると結果が出ないどころか、
一時的に症状を悪化したりすることもあります。
■術伝流のような一本鍼の場合はとくにそうですが、
このごろは繊維筋痛症に代表されるように
邪気が体にいっぱいの方がふえているので、
置鍼の場合でも刺鍼していく順序、抜鍼してくる順序には
注意したほうがよいと思います。

手順の2原則 †
•「手足→胴体→手足」、「陽→陰→陽」
が手順の2原則です。
◦手足に引くと陽に引くを手順にしたものです。
◦この二つの手順の原則をくみあわせれば、
「手足(陽→陰→陽) → 胴体(陽→陰→陽) → 手足(陽→陰→陽)」
となります。
■このくみあわせた手順が刺鍼手順の原則になります。
ただ、必要のない場合には、省略されることがあります。
•たとえば、慢性の病のときは、
表位をはじめ体の表(おもて)に邪が少ないので、
はじめの「陽に引く」をはぶくことが多いです。
◦「陰先陽後」とよばれる手順です。
•また、逆に、急性の病のときは
体の表に邪が多いので、
「陰に刺す」ことは止めるか少なくし、
「手足の陽に引く→胴体の陽に引く→手足の陽に引く」
という手順で刺すことが多くなります。
◦「先急」のときの刺鍼手順です。
•実技編で
いろいろな場合の手順をひとつずつ説明していきますので、
着実に身に付けていくようにしてください。

型は体で覚える †

「一:礼、二:姿勢、三:ツボ取り、手順」 †
•まずは、迷わずできるように、
型をしっかり身に付ける必要があります。
◦すこしぐらい体調が悪くても、
なにか考えごとをしたり心に迷いがあるときでも
まちがわず迷わずできるように、
型を体でおぼえてしまいます。

「一:礼」。 †
•はじめとおわりにきちんと礼をするのが第一です。
◦治療するまえに
「よろしくおねがいします」と声に出しながら、
ていねいに誠実に治療させていただきますという思いをこめて一礼し、
治療したあとには「
ありがとうございます」と声に出しながら、
診させていただきありがとうございましたという思いをこめて一礼をします。
■いまの若い方には、こういう礼は反発をうけるかもしれませんが、
私は、ある方から
「治療前後に深い一礼をしておくと、
 すこしくらい失敗しても苦情を言われる可能性は少なくなるよ」
といわれ、納得しました。
■そういう意味では、失敗したときには、
すこし失敗してしまいもうしわけありませんでした
という思いもこめたほうがよいかもしれません。

「二:姿勢」 †
•姿勢が第二です。
◦腰を伸ばし、肩の力を抜き、肘は張りぎみ、手首は折らない
というのが基本になります。
■椅子を使わない場合には、
お尻の下に座布団の二つ折りか四つ折りをいれて
お尻をすこし高くし、両膝を畳につけ、
利き手と反対側の足を前にだして座ります。
■椅子を使う場合には、
足先を椅子の後ろ側にまわすようにすると近い姿勢がとれます。
•鍼をする方向に臍(へそ)を向け、
刺鍼するところにできるだけ体全体を近づけ、
脇の下にテニスボール1個いれたくらい上腕を胴から話します。
◦こうすると、肘から先にゆとりがうまれ、
いろいろな刺鍼術をゆとりをもって使えるようになります。
◦また、受け手の方の体のそのときの変化におうじて、
手のうちを変えて対処しやすくなります。
■肘の高さが左右同じになるよう工夫すると、
刺鍼している時の体の左右差、背骨のかたむきが少なくなり
腰を痛める可能性が低くなります。
•姿勢が悪いと疲れやすく、体をこわしやすくなります。
◦患者さんの邪気を浴びて体をこわしたという話の多くは
姿勢が悪いことが大きな原因になっているように思います。
■邪気は気なので、ビールの気といっしょで、気が抜けやすく、
治療者の側に邪気の発生原因である水毒や悪血が少なければ
すぐ出ていきます。
■姿勢が悪いと疲れがたまりやすく、
そのあいだに邪毒の排出機能がおとろえやすくなり、
その結果として邪毒がたまりやすくなり、
体をこわしやすくなるということかなと思います。
•また、姿勢が良いと鍼が上手そうに見えます。
◦上手そうだなと受け手の方が思ってくだされば、
受け手の方が安心してくださるせいか、
鍼の効き目も上がるように思います。

「三:ツボ取り」 †
•つぎはツボ取りなんですが、
ツボ取りは「体は自然」で書いたのではぶきます。
ここは「型」の話ですし。
◦「体は自然」で書いた内容をくりかえし読んで、よく練習し、
いちど指を滑らしただけで迷わずサッとツボが取れる
 ようになってください。

「もうひとつの三:手順」 †
•型で三番目に大事なのは、手順、順序。
◦鍼は、順番が大切なんですが、
その順番で迷っていると、受け手の方は不安になります。
■とくに、診察手順で迷っているようだと、
刺鍼にはいる前に、患者さんは不安になってしまいます。
患者さんが不安になったら、体を硬くしてしまうことが多いので、
鍼灸の効き目は落ちます。

礼、姿勢、手順をまず体で覚える †
•礼にしろ、姿勢にしろ、手順にしたがった動きにしろ、
他人が見て美しいと思うくらいでないと、
型としては役に立ちません。
◦かっこよく見えることも大切なことです。
■なんども繰り返して練習し体で覚えてしまうと、す
こしずつかっこよく見えるようになっていきます。
•礼や姿勢がかっこよく、
手順どおりにツボを探す姿も美しく見えるぐらいになり、
そのうえで受け手の方の体の望みどおりに刺鍼できれば、
受け手の方の体は自然にととのい、病は癒(い)える
と考えてもよいくらいに手順、順序は大事です。
◦練習の場でたがいに声をかけあって、
体で覚えていけるようにしましょう。

礼、姿勢、ツボ取り、手順ができたら、型の意味 †
•礼、姿勢、ツボ取りや手順がしっかり体に身に付けられたら、
つぎは、型の意味です。
◦型がどうしてそういうふうになっているか、
自然則にもとづいて、その意味を考えていきます。

応急処置は陽中心、遠くに強く引く †
•応急処置の原則は「遠くに強く引く」です。
◦患部に蠢(うごめ)いている邪気を患部から引きはなし、
体の外に出すことを目的にしているからです。
■邪気が蠢いていることが急性症状が辛いことに関係しているので、
そういうふうに遠くに強い刺激を与えることで、
邪気を患部から引き離そうというわけです。
•頭首胴など体幹部の症状の応急処置では、
遠くは手首足首からさきになります。
◦ですから、「手足の陽→頭首胴の陽→手足の陽」
 が手順の基本となります。
■ただし、内臓系疾患の場合や、
運動系疾患でも膝や股関節の場合には、
陰経を組み合わせることになります。
症状に応じ、組み合わせ方を工夫する必要があります。
くわしくは、実技編の
「運動器系応急処置」「内科系急性期」を参照してください。
•肘膝からさき、とくに手首足首からさきの場合には、
対角刺、上下刺、巨刺など、
左右、上下、対角の対称点にツボを探しますが、
これも「遠くに強く引く」例でしょう。
◦手首足首が患部の場合に
同じ手足の手首足首からさきは遠いとはいえませんので。
■巨刺以外は文献に出てくることはすくないですが、
効果的な技法ですので身につけるようにしてください。
■くわしい方法は実技編の「運動器系応急処置」の
巨刺、上下刺、対角刺」を参照してください。
•また、内(陰)、つまり、
内蔵など体の内側が関係する急性病で上衝が激しいときなどは、
陰陽うまく組み合わせて対処します。
◦手に陽経、陰経の順で引き、
つぎに足にはぎゃくに陰経、陽経の順で引き、
背に引き、頭に散鍼して手の甲に引くのが基本手順になります。
■必要におうじて、省略したり、追加したりします。
■くわしくは実技偏の「内科系急性期」参照してください。
◦慢性期の型の手順を逆にしたようなやり方をすることもありますが、
すこしむずかしい刺法になります。

慢性期の型では頭を衝(つ)かせない †
1.慢性期の型において、はじめに手の陰経に引くのは、
邪気が動いたときにそちらに流れるようにするためです。
◦つまり、頭を衝(つ)かせないための予防策です。
2.そのつぎに手の陽経に引くのは、
表位の邪をすこし減らしておくためで、
まえの予防策の補強にもなります。
3.そして、横腹に引くのは、
ひとつは腹の中でいちばん陽の部分に引くためです。
◦また、腹の中では比較的筋肉の厚みがあり安全なところでもあります。
◦その2点以外に、左右差を減らす意味もあります。
■左右差が大きいと邪気がスムーズに上下の動きにのりにくいため、
鍼をして邪気を体の外に引き出すことがスムーズにいかなくなります。
4.おわりに肩頚頭(表位)のコワバリをゆるめ、散鍼するのは、
上、つまり頭に動いた邪気を散(ち)らすためです。
◦頭への散鍼で散らしきらないことも多いので、
その部分と関係のふかい手の陽経(とくに、手の甲)に引いておきます。
•このはじめとおわりの刺し方は、
「病が動いたときには、邪が頭を衝(つ)きやすい」
ことへの対処になっています。
◦慢性期でも、鍼をすることでおなかの邪気を動かすので、
病が動いたときと同じような対処をしているわけです。
■このあたりは、漢方の古方派の上下論を反映しています。
くわしくは「治療は対話・朝の目覚めが爽やかか」などを参照してください。
•ですから、慢性期の治療では、
時間がないときも、はじめとおわりは省略しません。
◦とくに、はじめの手の陰経への引き鍼と、
おわりの頭への散鍼と手甲への引鍼が大切です。
■それとくらべると、なかの部分は、
受け手の方の状態や時間を見て適当に組み合わせればよい
ことも多いです。
受け手の方の体があるていど読めるようになったらの話ですが。

刺法の意味を考える †
•ひとつひとつの刺鍼での受け手の方の体の変化をよく観察し、
その刺法の意味、型や手順の意味を考えることを習慣にすると、
上達が早いです。
◦「奥義は初伝にあり」という言葉を思い出してください。

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