和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

慢性期の診察・手順

はじめに †
 慢性期には、

「腹は生あるの本なり、故に百病は此に根ざす
 是を以て、病を診するには、必ず其腹を候ふ」(吉益東洞)

との言葉にしたがい、腹診を中心に体全体を観ていきます。

 古いなと思われるかも知れませんが、食べ物や飲み物で変化しやすい脈や舌に比べ
て、変わりにくいので、かえって現代的ではないか思いますし、慢性的な状態を観る
には適しているとも思います。

 現代の食べ物や飲み物には、色が付いていたり、添加物として化学合成物がいろい
ろはいっていたり、お茶には漢方薬にも使われる材料が使われていたりするので、脈
や舌の状態は、そういうものに影響されて変化していることが多くなります。また、
脈診や舌診に比べて身に付けやすいのも良い点ですし、治療の場所や手順が導きやす
いのも良い点だと思います。


(1)礼と姿勢 †
 診察をはじめるまえにまず一礼。

 はじめての方が相手だったら名前をつげたほうががよいでしょう。

 「丁寧に、きちんと治療します」という思いをこめて、右側のすこし離れたところ
で、ゆっくり息を吐きながら礼をします。座位の場合、両手で作った三角形の中に額
を入れるように、ゆっくり息を吐きながら礼をし、吸いながら戻ります。

 患者さんに近づいて右膝を患者さんの腰にかるく付け、臍を患者さんの顔に向け、
腰を立て、背は反らし気味に前傾し、肩をさげ、肘は張り気味の姿勢になります。


(2)脈 †
 人差し指、中指、薬指で手首親指側の脈を診ます。


おおざっぱな状況 †
 はじめは、こまかいことよりも治療前後の脈を比較してザワザワした感じの脈が
おだやかになっているかどうかがわかることが大切です。


左右差 †
 つぎは、左右差。このとき患者さんの肘が片方浮いている状態だと違ってきますの
で、両方の肘がしっかりベッドや布団についているか確認をしてください。


六粗脈はじめ脈状 †
 そして、浮沈・数遅・虚実はじめ、弦、滑等の脈状


部位脈 †
 上焦・中焦・下焦


注意点 †
 脈は、薬や食品添加物、野草茶などにふくまれる漢方成分などで変わりやすいので、
脈の状態と患者さんの印象がことなっていたら、薬などを飲んでいないか確認したほ
うがよいでしょう。

 また、脈診から予想される体の状態と舌診や腹診の結果をつねに比較しましょう。


(3)舌と表情 †

舌 †
1.舌の表側
 まず、舌を出していただき、舌の表側を観察します。舌の色や乾湿、はれ具合、歯
の痕、舌苔などの状態や、部位による変化を観察します。
2.舌の裏側
 つぎに、舌先を上の歯に引っかけていただき、舌の裏側を観察します。とくに、裏
側に左右に一本づつ走っている血管の太さや色を観察します。
 舌の状態も脈診や腹診と比較します。


顔の表情 †
 また、ついでに顔の表情を診ておいて、治療
後と比較します。治療前の浮かない、暗い表情が、治療後、生き生き、晴れ晴れとし
てくれば、良い治療といえます。


(4)腹 †

手のひらで、胸から腹を診る †
 まず、手のひらで大雑把な変化を見ます。手のひらを体温をはかる感じで順番に当
てていきます。


はじめは、胸部。 †
1.親指を開いて、鎖骨ちかくに当てます
2.親指を閉じて、胸骨中央あたりを診ます
3.そのまま手のひらをすべらせて、鳩尾まわり
4.腹よりの左右の肋骨の上
◦左右の肋骨の腹よりの部分は、左右交互に押して、弾力があるかないか確かめます。

つぎは、腹部 †
1.左右の上腹部
2.臍まわり
3.下腹部
4.左右の脇腹
◦左右の脇腹は、左右を比較してみます

はじめは、温度差から †
 手のひらで診るときにいちばんわかりやすいのは温度差でしょう。なれてくるとそ
れ以外の情報も伝わってくるようになります。


四指の先で、腹部のシコりやスジバリを診る †
 そのあと、四指の先でこまかく診ていきます。この場合には、シコりやスジバリを
中心に診ます。


みぞおち、中完、肋骨下縁 †
1.みぞおち
◦すこし離れたところから鳩尾のほうに指先を入れて診る
2.中完
◦鳩尾からそのまま指先をすこし臍のほうにズラして中完あたりを診ます
3.肋骨下縁
◦右左の肋骨の中央あたりのすこし離れたところから肋骨に直角の向きで肋骨の下に
指先を入れるような感じで診ます。

腹直筋 †
1.施術者から遠い側の腹直筋の臍より上の部分
◦指先を奥まで差し入れてから指先を横に振るとシコりやスジバリがわかりやすいです
2.施術者から遠い側の腹直筋の臍より下の部分
◦そのまま、足のほうにズラして同じ腹直筋の臍より下の部分を診ます。
3.施術者に近い側の腹直筋の臍より上の部分
4.施術者に近い側の腹直筋の臍より下の部分

臍下の丹田 †
 臍下丹田は、深く押し入れて、息に合わせて、押し返してくるかどうかを診ます


左右の脇腹 †
 左右の脇腹に指先を差し入れ、左右交互に上下に振って(背から腹へ、腹から背へ)
診ると、スジバリなどがわかりやすいです


古いツボの出やすい所 †
 腹診のおわりに古いツボの出やすいところを診ます。ツボが出ているかどうか。


臍まわり †
 臍から1,2cm離れたところで、左上、左下、右上、右下の四か所を比較してみます。


左右の章門 †
 肋骨下縁で脇腹に近い左右の章門付近を左右比較してみます


左右の五枢・維道 †
 蝶骨の腹よりの五枢・維道あたりを蝶骨に押しつけるようにしながら、左右比較して
診ます。


(5)足 †
1.足は、まず、足先や足の甲に手のひらを当てて、冷えを診ます。
2.つぎに、膝から足首に向かって、下腿の陰経陽経を診る
◦各経絡の状態(虚実・寒熱など)を診ます。必要の応じて、大腿部も診ます。
◦また、浮腫、凹凸、悪血(静脈瘤、細絡)や動脈の拍動などが目立っていないか
診られるとよいと思います。

(*)手順を迷わない †
 いちばん大切なことは、手順を迷わないことです。迷うと患者さんが不安になりま
す。迷わずに、ボーっとしていても手が手順通りに動くようになるくらいまで練習し
て身に付けてください。内容はそのつぎです。

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