和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

小さな「出来た」を積み重ねる

はじめに †
•さて、前回は、
達人の先生方の言葉に惑わされていると操体の実技の上達が遅れる事も多いから、
出来たら先に体で操体を実感したほうが良いという話で終わりました。

「出来た」という体験が大事 †
•少なくとも、先生から言葉を聞いた後の実習で、
i.聞いた事を体で感じる事が出来て、
ii.その内容を頭で理解でき、
iii.心でも納得できて、しかも
iv.或る程度は効果を上げられた
という経験が出来ないと
技や術は身に付いて行きません。

「出来なかった」を積み重ねても出来るようにはならない †
•先生の言葉は理解できたし、
実演は見せてもらったけれど、
i.自分の体では感じられなかったし、
ii.やっても効果は出せなかった
という状態では、
いくら習っても腕は上達して行きません。
•「出来なかった」事をいくつ積み上げても出来るようにはなりません。

「出来た」体験を重ねれば技術は身に付く †
•逆に、
小さな「出来た」を積み重ねていけば、
技や術は自然と身に付いていきます。
i.「受け手の方の体の状態を感じられた」、
ii.「その理由をガッテンして納得できた」、
iii.「それに基づいて操体したら効果が上がった」
という実感を、ささいな事でも良いから毎回積み上げていく
事が出来るよう工夫していきましょう。
◦また、
操体で治療する時や操体を伝える際には、
受け手の方に、そういう小さな「わかった、出来た」を
毎回一度は味わってもらえるように工夫していきましょう。

出来ない動作をいくつかに分ける †
•そのための一つの方法は、
出来ない一つの動作をいくつかの動作に分けてみる事です。
•数個に分けた動作の一つ一つのステップを出来るように練習していきます。
◦私は、脳性麻痺の次男の、
文字を書く事、計算、水泳、自転車乗りなどの練習に付き合った時に、
ずっと、この方法を使ってきました。
■最も、次男の場合には、
数個に分けた中の一つのステップの動作にまた出来ないものが有って、
それをまた数個のステップに分けて・・・
という事を何段階か繰り返さないと駄目でした。
◦中学生になって手先もだいぶ動くようになり、
中学1年の2学期の課題の木版画をした時には、
1段階のステップ分けでなんとかなりましたが。
■木版画の時のステップを書いてみます。
(1)自画像の版画だったので、まず本人の写真を撮り、
   その写真を版木の大きさに拡大コピーしました。
(2)写真の拡大コピーをクリアファイルに入れ、
   フェルトペンで輪郭線を書かせます。
   この時、シャツの皺も書かせます。
(3)輪郭線をコピーし裏返して、
   版木の上にカーボン紙、裏返しのコピーの順で置き、
   なぞらせて、輪郭線を版木に写させます。
(4)輪郭線を濃い鉛筆で幅5mmに太くさせます。
(5)(4)の輪郭線の周りを三角刀で彫らせ、
   輪郭線が5mmの幅で残るようにさせます。
(6)写真の拡大コピーの明るい処と暗い処を数段階に分類させ、
   その境界線を赤いフェルトペンで書かせます。
(7)(6)の左右反転させたものを作り、
   版木に明暗の数段階の輪郭を濃い鉛筆で書かせます。
(8)数段階に分けた明暗を彫刻刀でどう区別して彫るか
   練習させます。
(9)(8)にしたがって、版木を彫らせます。
■大雑把に書くと、こんな具合でした。
プロのイラストレーターや漫画家が
正確な動作説明図を描く時の方法を応用したやり方です。
また、実写とアニメやCG(コンピュータ・グラフィックス)を
組み合わせた映画を作る時にも似た方法が使われているようです。
•一般に、手足が普通に動く方なら、
最初に分けた1段階目の動作のステップを
一つ一つ出来るように練習していけば、
出来るようになってしまう事が多いです。
◦もう100人以上の方に操体や鍼灸を伝えてきましたが、
最初に分けた1段階目の中の一つのステップを
もう一度数個に分けないと出来ないという方は
2人だけでした。

自然との伝え合いを楽しめないと難しい †
•ただ、
そういう風に小さく分けた動作を一つ一つ身に付けていく事自体が好きでない方や、
受け手の方や講習仲間との体と体の伝え合いを愉しめない方は
難しそうでした。
◦小さく分けた動作を一つ一つ身に付けていく事は、
言い換えれば、自分の体との対話ですから、
どうも体のような自然のものと対話するのが嫌いな方は
難しいようです。

自然との触れあいを多くし、楽しむ †
•ですから、操体をする以外で、操体の腕を上げていくのに役立つ事は、
自然との触れあいを多くする事だと思います。
◦自然の中でも、植林された林や野菜や家畜などよりも、
人間の手のあまり加わっていないモノのほうが役に立ちます。
■植林された林は、植える間隔を始め、人が決めている事が多いですし、
野菜や家畜は人の役に立つように品種改良されて、
野生のものとは大きく異なっています。
◦人間は品種改良されていない野生動物です。
■都会にいる動物の中では
品種改良されていない度合いとしてはカラス程度でしょう。
野良犬よりは、はるかに品種改良されていません。
•天気の変化なども、
体が病になっていく時や治っていく時の変化に似ているなと思います。
◦特に、軽いカゼや腹痛などの時の変化は、
天気が崩れ回復していく時の変化に良く似ています。
•昔、沢登りをしている頃に、
始めて出会った滝の下に立って滝を眺めながら登るルートを予測したり、
山スキーで、
始めて見る斜面を上から眺めてスキーで滑るルートを予測したり
という経験を沢山しました。
◦その経験は、
体を眺めてツボが出ているラインを予測する
のに大変役立っています。

野性的な行為も役に立つ †
•恋をしたり、子育てしたりするのも役に立つと思います。
◦どちらも野性的な行為ですし、
体と体のリアルタイム・コミュニケーションが多いですし。
•でも、そういう事が愉しめないと難しいです。
◦ですから、逆に、赤ちゃんや子供に関わる方には、
是非、操体を身に付けて欲しいと思います。
■操体ができれば、言葉の通じない方と、
体と体のリアルタイム・コミュニケーションを楽しむ
事が出来ますから。

次回は、再度どうして病気になるのかな †
•今回は、
小さな「出来た」を積み重ねる事、そして、
体という自然との伝え合いが愉しめるか
が決め手になりそうだという事を書きました。
•次回は、「どうして病気になるのかな」という事について、
もう一度今思っている事を書いて、「操体は対話」編を終え、
いよいよ次々回からは、「操体の自然則」編です。

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