和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

姿勢や動作でツボを探す(鍼)

はじめに †
•先回は、
ツボの出ているところの皮膚や筋肉の状態と
ツボの出ていないところの皮膚や筋肉の状態状態の違いから
ツボを探す方法を書きました。
•今回は、
その方がそのときにもっともラクな姿勢や
動きやすい動作や動きにくい動作を利用した
ツボ探しの方法を書きます。

ラクな姿勢からのツボ探し †
•まず、姿勢から。
◦患者さんに、そのとき一番ラクな姿勢を選んでもらいます。
■言葉の通じる方なら、
「仰向け、うつ伏せ、横向き、横向きも左下でも右下でもどちらでもよいです。
 いま、いちばんラクになれる寝方で横になってください。
 寝方が決まったら、足や手をおく位置もすこし動かして、
 いちばんラクな姿勢で寝てみてください。」
とか声をかければよいと思います。
■赤ちゃんや認知症のお年寄り、重度の障害をもつ方など、
言葉の通じない方の場合には、
その方がそのときにとっている姿勢でよいです。
◦そういう、そのときにその患者さんがとっているラクな姿勢をよく見てください。
■たいていの場合には、その姿勢で、
いちばん上になるライン、いちばん下になるライン、
いちばん縮んでいるライン、いちばん伸びているラインに
ツボが出ていることが多いです。
•このうちとくに出やすいのは、
いちばん上になっているラインといちばん縮んでいるラインです。
◦いちばん上になるラインに出やすいのは、
重力負荷を避けるためだと思います。
◦いちばん縮んだラインに出やすいのは、
ツボの奥は過緊張して硬く縮んでいるので、
ツボの出ているラインを縮めたほうがラクだからだと思います。
■いちばん下になるラインに出やすいことや
いちばん伸びたラインにで出やすいことは、
それぞれ、
いちばん上になるラインに出やすいこと、
いちばん縮んでいるラインに出やすいことの
表裏対応かなと思います。

ラクな姿勢で上になるラインにツボが出る例 †
•たとえば上側に出る例では、
ぎっくり腰の場合には、たいてい、
痛い側を上にした横向き寝の姿勢しかとれません。
そして、体を腹側に曲げた姿勢で寝ています。
上になったほうの膝が、下側の足の膝よりも前に出ていることがほとんどです。
◦そういう姿勢で上になるラインに、ぎっくり腰の応急処置に使うツボが並びます。
a.腰では肋骨と腰骨のあいだの脊柱起立筋のいちばん外側、つまり、脇腹より、
b.腰骨のすこし尻より、
c.大腿横側中央、
d.膝裏の小指側のみぞから2,3cm脹ら脛(ふくらはぎ)によったところ、
e.その膝裏・小指側のラインを足首のほうにたどって
脹ら脛(ふくらはぎ)が終わるあたり、
f.外踝(そとくるぶし)と踵(かかと)の骨のあいだ、
g.外踝(そとくるぶし)の小指より、
h.足の甲の4・5間、つまり、小指とそのとなりの指につながる足の甲の骨のあいだ、
i.小指の指裏のシワの4指側のはじ、4指の指裏のシワの小指側のはじ
などです。

ラクな姿勢で縮んだラインに出る例 †
•いちばん縮んだラインに出やすい例は、前にも出しましたが、
脹ら脛(ふくらはぎ)がツりやすい方の膝裏やソケイ部があげられると思います。
•また、古い五十肩で腕がほんのすこししか上げられない方の場合に
脇の下にツボが出やすいことも例になると思います。

花粉症、喘息の方の場合 †
•ぎっくり腰のような急性の運動器系の症状でなくても、
慢性の内蔵系の症状でも、姿勢からツボが読める場合が多いです。
◦たとえば、花粉症の方は
肩甲骨のあいだが下にとがった逆三角形にくぼんでいることが多く、
夏などで薄着のときには歩いている姿を後ろからながめただけで
わかることもあります。
■これは肩胛骨の外側と腕のあいだ(肩井、けんせい)にツボが出て、
その奥が縮んでいるためです。
そのため、そのシコりの上の肩胛骨の外側で上側の部分が
肋骨のほうに回転して近づき、その結果、
肩胛骨の内側で上側の部分が肋骨から離れて出っ張ってくるためです。
•呼吸器に関係する慢性症状の場合、この肩井にツボが出ている方が多いです。
◦呼吸に関係する臓器・器官のあるところで、
横輪切りにした場合に筋肉の厚いところで、
しかも慢性期なのではじ(側面より)にある筋肉の厚いところに出やすい
からかなと思っています。
•喘息の方にもこの傾向があります。
また、喘息の方はうつ伏せになってもらうと、
利き手側に顔を向けることが多いです。
◦それは、肩甲間部の利き手側の背骨のすぐわきに
溝のようクボみができていて、その奥に硬いシコりがあるからです。
■そのため、その部分を中心に肩甲間部の背骨の利き手側が縮んでいるので、
首を利き手側に向けるのがラクになるわけです。
◦こういう方を見かけたら、
そのみぞのなかでいちばんクボんでいるところに灸頭鍼してあげる
とよい場合が多いです。

動作制限がある場合のツボ探し †
•患者さんがある特定の動作ができないと訴えている場合の
ツボ探しもおもしろいです。
◦患者さんにそのやりにくい動作を痛くなる手前までやってもらいます。
■そのときに注目するのは動作の軌跡がえがく平面です。
痛みなどが出る場所がどう動いていくか、
痛みの出る場所の筋肉全体がその動作をしたときにどういう面をえがくか
を観察します。
■ツボは、
その動作の軌跡がえがく面と皮膚との交わる部分にできる線の上に並びます。
■こういうことを文章だけで理解してもらうのはなかなか難しいですね。
例をあげます。

腕を真横に上げていくとき †
•腕を真横に上げていく動作では、
動作の軌跡は、肩を中心に中指を先端にした円をえがきます。
◦その面と皮膚表面とまじわる線は、肩のいちばん先端から中指につながる線です。
■この動作がしにくい患者さんがいたら、動かした腕に出る、
その動きに関わるツボは、その線の上に並びます。
•この動きは単純なので比較的わかりやすいと思いますが、他の動きでも同じです。
•立ち姿勢で腕を垂らした状態で
小指側を手のひら側に回すような手首捻転の動作がしにくい場合には、
肩まわりのツボは、
肩の先端から腕と胸のあいだへ向けて、床と平行な線の上に並びます。
◦すこし腕を外側に上げた状態で同じ動作がやりにくい場合には、
上げた腕の上腕部と直角の線の上に並びます。
■これは、伸ばした腕を回転するという動作は、
腕を伸ばした方向と直角の軌跡をえがくからです。

動作が大きくなると、ツボは関節から離れたところに出る †
•そして、おもしろいことに
動作が大きくなるほど、
いちばんポイントになるツボは
動作の中心になる関節からだんだん遠ざかります。
◦さきほどの腕を垂らした状態から真横に上げる動作では、
a.ほんのすこししか上げられない場合には、
肩の先端のすぐ下2,3cmのところに出ます。
b.30度ほど上げられる場合には、
三角筋の終わるあたり、上腕の中ほどに出ます。
c.45度ぐらいまで上げられると上腕の肘よりに出ます。
•これは、どの動作にもいえるようです。
•もう一つよく使うのは、
腰痛などで腰が前に曲げられないで顔が洗えない場合です。
◦腰の前屈には、腰椎の中でも5番が関係しているようです。
a.それで、すこししか前曲げができないときには、
痛む側の背中の肋骨の下側付近と、尻中央から足と尻の境目あたりに
一番ポイントとなるツボがあります。
b.そこを鍼などしてゆるめると、もうすこし前に曲がるようになり、
ポイントとなるツボはモモ(大腿)裏側の中央あたりに移動します。
c.また、そこをゆるめると、もうすこし前に曲がるようになり、
ポイントはモモ(大腿)の膝裏ちかくに移ります。

動作制限でもっとも伸びようとしているところを探す †
•この動作の軌跡のラインでツボを探すというのは、別な言い方をすれば、
その動作でもっとも伸びようとしている筋肉の
いちばん伸びようとしている部分と、
もっとも縮もうといている筋肉の
いちばん縮もうとしている部分にツボが出るということです。
◦その動作の軌跡のラインで、
もっとも伸びようとしているところともっとも縮もうとしているところを
調べるツボ探しの方法は、どの関節の可動域制限にもあてはまります。
■痛い一歩手前まで制限のある動作をしていただき、
もっとも伸びようとしている筋肉か、
もっともも縮もうとしている筋肉のライン上で
いちばんヘコんだところを探し、
その姿勢を変えないで鍼をします。
■一度、動作をもどしてから、
もう一度動作をしてみると可動域が広がっています。
■まだ、充分な可動域にならないときには、
充分になるまで同じように繰り返します。
◦一鍼するごとに可動域が広がっていき、それにつれて
ツボは制限のある関節からしだいに遠ざかったところに出ます。
•指など手首足首からさきで鍼を痛く感じるときには、同じことを糸状灸でやります。

腱付着部痛のツボ探し †
•また、これとよく似たもので、
ツボが腱を引っ張っていることが原因で痛みや動作制限が出る
ことがあります。
◦つまり、骨に腱がついているところに症状が出ているときには、
その腱の筋腹にツボが出ていて、
そこが縮んで腱を引っ張っていることが原因で
痛みや動作制限が出ることがあります。
■肘や踵(かかと)、顎関節症のときの顎関節などで、
すぐ下が骨で筋肉がほとんどついていないところの痛みや、
バネ指など指の動作制限のときによく見られます。 
•やはり、痛みや動作制限がおこるすこし前の格好で、
痛みや動作制限をおこしているところから筋を胴体のほうにたどり
ヘコんだ溝のなかのいちばんヘコんだところを押すと
ツボが見つかることが多いです。
◦まれに反対側の筋肉に出ていることもありますが、
ほとんどは胴体よりの筋肉に出るので、
まず胴体よりを調べて見つからなければ反対側を調べるとよいです。
■ただし、顎関節症のときには、
下顎をつる筋に多く、頬から額の横よりに出ます。
■肘さきの痛みのときには上腕のいちばん太いあたり、
踵(かかと)の痛みのときには脹ら脛(ふくらはぎ)のいちばん太いあたりに多く、
バネ指のときには前腕のいちばん太いあたりに多いです。
•もちろん、鍼灸では、未病を治すことも必要なので、
そこだけするわけではなく、全身のツボを見ていきます。
◦でも、いちばんポイントになるところがわかれば、
先急後緩の先急、つまり応急処置のポイントがつかめます。

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