和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

ツボ付近の状態、ツボの探し方

はじめに †
•前回は、人の体のどういう構造をしている部分にツボが出やすいかを書きました。
大雑把な見方です。
•今回は、実際にツボの出ている部分の筋肉や皮膚の状態について書いてから、
•それを利用して、ツボをはっきり決めるやり方を説明します。

ツボの付近の状態と適切な処置をした時の変化 †

ツボが出ている時の状態 †

ツボの内部の筋肉は、上部が過弛緩、奥底が過緊張 †
•「操体もくもく・体は自然3」に「歪みは筋肉に記憶される」と題して書きましたように、
ツボの在る部分の筋肉は上のほうが弛緩しきった状態になっていて、
下というか奥のほうに緊張しきった硬い部分があるという形をしています。
◦ツボが出来て新しければ
■弛緩した部分は少なくて、
皮膚の直ぐ下に硬い部分があります。が、
■表面の皮膚はペコペコして弛(たる)んでいる事が多いです。
◦ツボが出来て時間が経ち古くなると、
■弛緩した部分が多くなり(厚くなり)、
ずーっと奥のほうまで過弛緩の状態、つまり、ズブズブと弾力のない部分が続き、
■奥にとても硬い板のような痼りがあります。
■見た目にも凹んで見える事も多いです。
◦昔の人が「穴」とか「ツボ」と呼んだのも
凹んでいるのが最大の特徴だからでしょう。


ツボ表面の皮膚の状態 †
•ツボが出ている表面の皮膚は弛(たる)んでますから、
◦カワの操体をする場合には、
ツボの出ていない場所よりも余計ズレ易いと言えます。
•ツボが出ている皮膚表面は弛んでいるだけでなく、
◦黒ずんでいたり、艶が無かったり、
◦周りより冷たかったり、
◦少しベタベタしています。
■ベタベタしているのは、体に悪い物を外に出そうとして、
少しアトピー性皮膚炎のような状態になっているからだそうです。

ツボに操体・鍼灸して巧く行った時の変化 †

ツボの内部の筋肉の状態変化 †
•操体をしたり、鍼灸したりして、巧く行くと、
◦ツボの出ている部分の筋肉の底のほうの硬い部分は柔らかくなり、
◦途中の過弛緩の部分は締まって弾力が出てきて、
正常に伸びたり縮んだりする状態に戻ります。 
•ちょっと脱線しますが、鍼を古いツボに刺す時には、実際、
◦しばらくフニャフニャして抵抗無く鍼が吸い込まれるように入っていき
急に硬い物に当たる事が感じられます。
◦適切に鍼を操作していると底の硬い部分が緩みます。
◦そこで抜いてこようとすると、
刺してくる時にはフニャフニャズブズブだった部分が硬くなって
鍼を挟んで抜けてこない事が良くあります。
◦この時無理して抜くと痛いので、
鍼を抜く方向に力を入れながら、
揺らしたり上下したり回したりしていると緩んで少し抜け、
また、少し上で鍼が硬い部分に挟まって抜けてこないで、
また少し鍼を揺らしたりして緩めて・・・と言う感じで、
数回そういう事をしながら抜いて来る事も多いです。
■こんな時に私は、筋肉の3つの状態、
 1.必要に応じて伸び縮みする正常の状態
 2.硬くなって伸びなくなる過緊張の状態
 3.伸びきって縮まなくなる過弛緩の状態
が本当にそうなんだなと実感します。

ツボ表面の皮膚の状態の変化 †
•さて、適切な事をして巧く行った場合のツボの状態の話に戻ります。
◦見た目に凹んで見えた場合には、凹みが減り膨らみが出てきます。
◦皮膚表面にも張りが出てきて弛(たる)みが無くなるので、
■皮膚をずらそうとしてもズレ具合が少なくなります。
◦また、表面はサラサラして、
◦黒ずみが消え艶が出てきます。
◦冷たさも減って暖かく感じるようになり、赤くなる事も多いです。
•こういう現象は、カワの操体や鍼灸をした箇所だけでなく、
それに関連する患部の場所の筋肉や皮膚も同じ様に変化している事が多いです。

ツボが出ている部分は弾力が無い †
•ツボの出ている部分と出ていない部分の差をしっかり理解し、
実際に色々な方の体を見たり触ったりさせてもらって、
その差を自分の指で目で味わう事が
◦ツボ探しが巧くなる出発点です。
•ツボの出ている処は
◦過弛緩の部分と過緊張の部分で出来ているせいからか
■弾力が無いのが特徴です。
•健康でツボが出ていない部分は押しても撥ね返して来ますが、
◦ツボの出ている処は押しても殆ど撥ね返してきません。
■その差は粘土とゴムまりくらいの差があります。
•また、表面からカチカチで押せない場合もありますが、
◦それも弾力がないと言えると思います。

ツボを探す †

指を滑らして探す †
•そういう差を踏まえて探すのですが、
「指を皮膚表面上で滑らして探す」のが簡単でしょう。
•先ずは、背中や手足のような大きな筋肉のある処で練習すると良いです。

手足や背中など大きな筋肉の所 †
•手足の場合には、
i.凹んで見える筋肉の溝に沿って、指を滑らせてみます。そして、
ii.その中でも特に凹んでいる処、
ベタベタ湿った処、つまり、少し抵抗感が有って指が滑りにくい処を見付け、
少し圧を加えます。
iii.患者さん役の方が痛いと言って逃げたら当たりです。
■ただし、麻痺の方の場合やツボが古くて麻痺状態になっていたりすると、
痛くない事もあります。
•指を滑らしてツボ探しをする時、滑らす方向は毛並みに沿う方向です。
◦犬などもそうですが、毛並みに沿って撫でると落ち着きますが、
毛並みに逆らって撫でると興奮します。
◦私たちの治療は体を緩めるのが基本ですから、
■ツボ探しにしても指を滑らす方向は毛並みに沿うのが原則です。
•背中は、
◦先ず、背骨の上を
a.頭に近いほうから尻に近いほうに向かって指を滑らして、
b.背骨上で凹んでいたり引っかかりや抵抗を感じた場所を見付けます。
c.次には、見付けた場所から、真横、つまり、背骨と直角のほうに指を滑らせていき、
凹んだ場所を見つけます。
d.左右両側に出ていたら、比較して嫌な感じの強いほうを取ります。
◦また、ツボが古くなると、
背中にも、縦、つまり、背骨に平行に溝が見える場合もあります。
■そういう場合には、その溝に沿って指を滑らして、一番凹んだ部分を押してみます。
•お腹も基本的には背中と同じで、
a.先ず正中線上に指を滑らした後、
b.横方向に指を滑らして探し、
c.左右比較して選びます。
•お尻など広い場所のツボを探す場合には
◦縦横に指を滑らせて、一番凹んだ場所を見付けると良いと思います。

骨の近くのツボ探し †
•手足の甲の骨と骨の間など狭い部分を探す時には、
◦指を横に、つまり、爪と平行方向に滑らして探すのがコツです。
■その方が狭い部分に指先が入ります。
■そして、手足の甲は指のほうから滑らしたほうが探しやすいです。
毛並みに逆らう事になりますが。
◦この指を横に滑らすのが、
■お灸の深谷伊三郎先生がツボ探しのコツとして書き残している
「指を細く使え!」という事なんじゃないかなと思います。
•骨際(ほねぎわ)のツボを探す時は、
◦骨際に沿って指を滑らして、凹んだ場所を見付けます。
◦後頭骨下縁、肩胛骨周り、肋骨下縁、骨盤上縁、内踝・外踝周りなどの骨の近くです。
•膝と内踝の間の骨上にあるツボ(中都、蠡溝)を探す時には、
i.先ず骨の幅を確かめてから、
ii.その真ん中に指を滑らすと探しやすいです。
•こういう探し方、つまり、
どういう処はどういう風に指を滑らすとツボが見つかりやすいか、
という事を体全体で覚えてしまうと楽にツボが探せるようになります。つまり、
◦ツボは、探し方、指の滑らし方で覚えるのがコツです。

膝裏痼りの探し方 †

うつ伏せで膝裏痼りを見付ける †
•操体で良く調べる膝裏の痼りも、
一度、うつ伏せで膝裏を出してもらい、
目で窪んだ溝を見たり、その溝に沿って指を滑らしたりしてみると良いと思います。
•たいてい、膝裏の皺の両端の上下に溝が見えます。
◦膝裏を絵に描く時には、
アルファベットの「H」の縦方向が縮んだような形に描きますが、
たいてい本当にそういう風に溝が見えます。
•その溝に指を滑らすとツボが探しやすく、
「H」の4つの端にツボが出ている事が多いです。
◦外で下側、つまり、小指側の脹ら脛にある溝の中で
膝裏の皺から2,3cm足首よりに在るツボが一番痛くて、
◦2番目が内で下側、つまり、親指側の脹ら脛ある溝の中で
膝裏の皺から2,3cm足首よりに在るツボです。
◦その二つに比べれば、
真ん中の下、つまり、脹ら脛よりの中程が痛む事は少ないですし、
大腿寄りが痛む事も少ないです。
■逆に言えば、そういう処が痛んでいれば、それだけ歪みが大きいという事です。

仰向け膝立で膝裏痼りを探す †
•さて、私は膝裏の痼りに対しても横向きからの操体を使う事が多いのですが、
定番では仰向けで膝を立てて探しますね。
◦その場合のツボ探しのコツを書きます。
a.膝裏中央に当てた両方の中指を先ずそれぞれ両端のほうに止まるまで動かします。
b.その状態から上を向いていた中指を手前、つまり、脹ら脛よりに向けます。
c.次に、その中指を曲げて、それぞれ少し外側を押すと、
「痛た」と声が出る事が多いです。
◦ようするに、仰向けで膝を立てた状態では、
膝裏はアーチ上にお皿側に窪んでいます。そして、
痼りが脹ら脛寄りに出る事が多いので、
■こういう探し方で見つかる可能性が高いわけです。
◦最後に指を曲げて押したのは、
この姿勢では膝裏はアーチの形をしているので、
■ツボはアーチの側面に移動しているからです。
•皆で集まって操体をする時などに、
先ず順番に1人1人うつ伏せ膝出しになってもらい、
その状態で膝裏の痼りを確認しあうと良いです。
◦その後で、
仰向けや横向きなどで膝が曲がった状態での膝裏ツボ探しの練習をすると
比較的簡単に出来るようになります。
◦そして、見つかったツボに指を当てながら操法をして、
その時のツボの変化を見ても面白いです。
■この辺りは「操体の自然則編」で詳しく書く予定です。

指周りの小さなツボを探す †
•足の指揉みによく使う指裏の皺付近のツボ(節紋)も、
一度しっかり覚えてしまうと次からは確実に使えます。
◦ここを特定するには指だと難しいかも知れません。でも、
■書けなくなった太字のボールペンの先端程度のもので探す
と特定できます。
楊枝の頭では少し太すぎるかもしれません。
■楊枝や竹串の先を直径1mm位の処で爪切りなどで切り、
爪ヤスリで角を丸めるとちょうど良くなるでしょう。
◦指を軽く曲げて、
指の関節部の手のひら・足の裏側の皺の端付近の一番凹んだ場所を
そういう道具で押してみます。
◦痛かったらツボが出ています。
◦全ての指の同じ箇所を押してみると、
同じ強さで押しても痛かったり痛くなかったりします。
◦また、ツボが出ている部分は、
押した痕が大きめ深めに赤黒く凹み、
凹みがなかなか元のように平たくなりません。
■ツボが出ていない処は
凹みが小さめで浅く、
色も艶のある赤か白っぽい色で、
凹みが直ぐに平たく戻ります。
•この方法は指周りにお灸する場合のツボ探しのやり方なのですが、
一度こういう事をしっかりやっておくと、
足の指揉みやカワの操体などで、指のツボを使う際に、
サッとツボ探しが出来るようになります。
◦お灸の時には、
爪の根本にあるツボ(井穴)や指関節の甲側中央のツボ(骨空)も、
この探し方で見付けます。
•そして、
指関節部付近のツボを指で押したり揉んだりする場合にはコツが有ります。
◦見つかったツボに
こちらの指の関節と関節の間の側面の部分を当てるようにすると良いです。
■側面のほうが指裏部分よりも細いし、付いている筋肉の量が少ないので硬く、
指関節部付近のような小さなツボにピンポイントで当てるには適しています。
■側面の中でも、特に、関節の近くの骨が太くなった部分を当てると良いです。
◦これが出来れば、
道具を使わなくても指関節部付近のツボを探す事が出来るようになります。
 

次回は、動診によるツボ探し †
•今回は、基本的なツボ探しの方法を書きました。
•次回は、患者さんにとって楽な姿勢や出来ない動作
(つまり、操体で言う「動診」)を利用したツボ探しについて書きます。

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