和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

ツボの出方の自然則

はじめに †

体の自然、とくに出ているツボを利用するのが鍼灸治療 †
•体の自然というテーマで書いてきました。
•体は自然なので、病気になるのも自然なりの必然的な理由があります。
◦病気になったときには、
体は歪んでいて、体のあちこちにツボが出ています。
■鍼灸では、
おもに病気の体に出ているツボに鍼灸することでツボを消し、
それによって体を整え
病気であるのが不自然になるようにすることで治療をしていきます。

筋肉の一時的機能的過弛緩過緊張をもとに戻す †
•出ているツボを消すというのは、
ツボの出ているところの筋肉が一時的に機能的過緊張過弛緩した状態を
元のような必要に応じて自在に伸び縮みする状態にもどすことです。
◦ツボの底は硬いシコりは、
筋肉が一時的に機能的過緊張の状態になっています。
◦表面から底までのあいだは、
フニャフニャズブズブの一時的な機能的過弛緩の状態になっています。
•ですから、鍼灸で症状を改善するためには、
まずツボをみつけることが大切です。
◦そこで、「体は自然」をおえるにあたり、
ツボの出方の自然則についてまとめ、
書き残したことなどを書いておこうと思います。

ツボの出方の自然則
•まとめると以下の10の自然則になるかなと思います。
1.ツボは歪んだ体にかかる負荷を分担するシステム
2.おもな負荷は重力
3.立ち姿勢での重力負荷分担が十四経など(立ち姿勢での縦切り相関)
4.寝た姿勢での重力負荷分担が愈募穴など(立ち姿勢では横輪切り相関)
5.動作時連動筋肉内にツボが出やすい
6.大きなツボは筋肉の厚いところに出やすい
7.ツボの上の皮膚表面はヘコんでいる
8.ツボから末梢側の血行、神経伝達が阻害されることがある
9.動作制限の一歩手前の姿勢で伸びようとしている筋にツボが出る
10.内蔵の機能的関係からツボが見つけられることがある
•順に今まで書いてきたことをふくめ説明しておきます。

ツボは、歪んだ体にかかる負荷を分担するシステム †
•ヒトは動く生き物、筋肉を伸び縮みさせて動く動物で、
筋肉を緊張させて負荷に耐えます。
◦心の負荷にも体を緊張して耐えます。
■顎関節症は辛さを歯をくいしばって耐え続けたことに由来するようです。
◦歪んだ体にかかる負荷が1か所に集中すると壊れやすいので
関連する筋肉で分担して受け止めています。
•筋肉が3つの状態に変化することをよく理解してください。
以下のの3つです。
i.自由に伸び縮みする状態、
ii.過緊張してカチカチになり伸びなくなった状態、
iii.過弛緩してフニャフニャになり縮めなくなった状態
•この過緊張、過弛緩は一時的機能的なものなので
鍼灸すれば改善します。
◦お年寄りなどの経過が長いものが治りにくいのは、
一時的な機能的過弛緩過緊張が
だんだん永続的で器質的なものに近づいていくせいかな
 と思います。

おもな負荷は重力 †
•ヒトは地球という星のうえで生きる生き物です。
◦地球上の生き物は、重力を基本的負荷として進化してきました。
◦地球上の生き物の形や動きを考えていくときに
重力との関係を無視することはできません。
■赤ちゃんがハイハイし、やがて歩くようになるのも
重力という負荷を克服していく過程であるともいえると思います。

立ち姿勢での重力負荷分担が十四経など †
•ヒトは、地球上で直立2足歩行するサルです。
◦立った姿勢では、
天から見て重なるところどうしで重力を負荷分担しています。
•これには、以下も関係すると思います。
i.「頭てっぺんの頭痛は足厥陰」
ii.「目のツボが、頭頂部あたりで目をとおり正中線と平行な線と
 耳をとおり正中線と垂直な線の交点に出る」
iii.「足甲の辛さを頭の鉢巻きをするあたりのツボで解消できる」

寝た姿勢での重力負荷分担が愈募穴など †
•ヒトは、寝るときに体を横たえます。
◦そのときに重力負荷は体の横輪切りの方向にかかります。
■症状がほとんどなく、歪みが少ない方は仰向け寝で寝ることが多いので、
背中側の筋肉のいちばん太いところ、
つまり足太陽の1行線で負荷を受け止めるので、
愈穴が1行線にならぶのかなと考えています。
■そして、
症状が重くなり歪みが大きくなると横向き寝とかが多くなるから
横にズレて2行線や華陀経などに出やすくなるのかなとも考えます。
•愈募穴などは寝た姿勢での重力負荷分担なので、
ふだん歩かない赤ちゃんや寝たきりの方の場合には、
この横輪切りのツボのほうが立った姿勢での負荷分担である経絡的なツボよりも
比較すると効果的なことが多くなります。
•これには、
「便秘に沢田流神門」などをふくめてよいかなと思っています。

動作時連動筋肉内にツボが出やすい †
•ある動作をしたときにいっしょに動く筋肉に
ツボが出ていることが多いです。
◦一緒に動く筋肉の一つにツボが出れば、
いっしょに動くほかの筋肉に余分な負荷がかかるからです。
•これには以下もふくめられると思います。
i.巨刺、上下刺、対角刺
ii.奇経の「左内関・右公孫」
iii.「バックハンドテニス肘の時は同側下腿にツボが出て、
  フォアハンドテニス肘の時には反対側下腿にツボが出る」

大きなツボは筋肉の厚いところに出やすい †
•横輪切りや縦切りの原則からすこし外れていても
大きな筋肉のあるところにツボが出ることがよくあります。
◦大きな筋肉のほうが大きな負荷を引き受けられるからです。
■たとえば、以下などです。
a.「肺の募穴が中府」
b.「目が悪い方に顎と首の境目にツボが出る」
■どちらも関係する臓器の中心の横輪切りラインからはズレていますが、
そのあたりでいちばん筋肉が厚いところです。

ツボの上の皮膚表面はヘコんでいる †
•ツボが出ているところの上の皮膚表面は
ペコペコベコベコとしてヘコんでいます。
◦これは、その皮膚表面の下の皮膚に近い筋肉が
一時的に機能的過弛緩の状態、
つまり、フニャフニャズブズブになっているからです。
■だいたいツボが出ているあたりを予測できたときに、
ツボの出ているところをこまかく特定するときのいちばんの目安になります。
■すこしベタベタ湿っていたり、ツヤがなく黒ずんでいたりするのも
目安になります。

ツボから末梢側の血行、神経伝達が阻害されることがある †
•ツボが出ていると、その奥はシコり、
つまり一時的な機能的過緊張の状態になっています。
◦その過緊張状態の筋肉が血管や神経を圧迫して、
そこから末梢側の血行や神経伝達が阻害されることがあります。
■以下などのときのツボの出方です。
a.座骨神経痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、
b.手足のシビれ感、
c.冷え、
d.ヒョウソ、
e.乳腺炎、乳汁不足

動作制限の一歩手前の姿勢で伸びようとしている筋にツボが出る。 †
•動作制限のあるときや痛くて動作ができないときには、
その制限動作を制限される、あるいは痛みが出る一歩手前の姿勢で、
もっとも伸びようとしている筋肉のいちばん伸びようとしている部分に
ツボが出ていることが多いです。
◦その姿勢で
もっとも縮もうとしている筋肉のいちばん縮もうとしている筋肉にも出ますが、
伸びようとする側よりは少ないし、かるいツボが多いです。
•これと似たものとして、
腱の付着部が痛い場合に
その腱の筋腹にツボが出ていて、
腱付着部を引っ張っていて痛みが出ていることがあります。
◦指を動かす動作の制限でも、
その動作をする筋の筋腹にツボが出ていることが多く、
腕のいちばん太いあたりにツボを探します。

内蔵の機能的関係からツボが見つけられることがある †
•たとえば口内炎ができたときに、
そういうときには胃腸が弱っていることが多いことが思い浮かべば、
胃腸の病のときにツボが出やすいところを
調べる必要があることが思い浮かぶでしょう。
•二日酔いのときには肝臓関係のツボが出やすいところを調べるとか。

10個の自然則を理解すれば、ツボが予測できるしツボが取れる †
•この10個の自然則をよく理解することが大切です。
◦患者さんの訴えを聞いたり、
体を目で見て手でさわって確かめたりしたことと、
こういう自然則を照らし合わせると、
だいたいツボの出ているあたりを予測できるので、
あとは、そのあたりを目で見て手でさわって、
そのあたりでいちばんヘコんだところをみつければ
ツボは取れることが多いです。
◦あとに書く実技の解説では、
運動器系応急処置、運動器系慢性期、病証を説明してから
内科系の慢性期、急性期、そして応用というふうに、
ひとつひとつ項目別にくわしく四診を中心にした診察や
ツボの出やすいところなども説明していきますが、
この10個の自然則をいつも思い浮かべられるようにしておいてください。

体を見守るようなふれ方が大切 †
•さて、鍼灸で受け手の方の体にふれるときには、
受け手の方の体の状態を観察するふれ方のほうが、
受け手の方の体に何かしかけるふれ方よりも重要です。
◦受け手の方の体にふれている部分は、
受け手の方の体の状態をつねに見守っているような感じが大切です。
■赤ちゃんのおでこに手を当てて体温を測るときのようなふれ方です。
•そういうふれ方でツボを探したり、押し手を作ったり、
あるいは刺し手でもそういう感覚が優先されると思います。
◦そういう感じでいると、
受け手の方の体の変化がわかりやすいですし、
受け手の方の体の状態の変化に応じて、
こちらの刺し方を変化させやすいです。
■お灸でも同じです。
•そこで、つぎの章では、
治療は対話というテーマで、
そのあたりをくわしく書いていきます。
•(今回で、「体の自然」編を終えて、
  次回からは「治療は対話」をテーマにし、
  それから「鍼灸の自然則」を書いていきたいと思います。
  「治療は対話」編では、対話という視点から、
  「体と体の対話」としての鍼灸について書いていきます。)

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