和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

タワメの間の息

タワメの間では、息が深くなる †
•今から20年近く前だったと思います。
•操体をしていてタワメの間が長い方の場合に、
そのタワメの最中の息が深くなる事に気が付きました。
◦パッストン系の瞬間脱力をした後に
脱力したまま休んでいる時と同じような
深い息をしたまま、ずっとタワメの間を続けている
 事に気が付いたわけです。
•その後、操体をするたびに観察していると、
タワメの間が長い場合には、
深さの程度の差はありますが、
多くの方の息が深くなる事、
お腹で深い息をしている事、もう少し言えば、
自然に深い腹式呼吸になっている事が解りました。
◦少しタワメの間が続いても
息が深くならない場合には、動き出して、
次のタワメの間の姿勢を探すような感じで
ゆっくり動いていく方が多かったです。

自動運動は、タワメの間を探すため †
•そんな経験を何度もしているうちに、私は、
自然に動き続けるいわゆる「自動運動」というのは、
その運動自体に体の歪みを取る効果が有る場合よりも、
次のタワメの間を探すために動いている場合のほうが多い
 のではないかと考えるようになりました。
◦自動運動だけで終わってしまう場合よりも、
新しいタワメの間が見つかって、
そのタワメの間の間中、深い息を続けた方のほうが
満足度も高く、
体の歪みや痛み・辛さが良くなる割合も上だったからです。

息を深くなる姿勢を探す事を切っ掛けに †
•それで、15年くらい前には、
息が深くなる姿勢を探す事をきっ掛けにして
操体をするという一人操体の方法を思いつき、
練習していました。
◦その時の自分の息を観察して、
その息をするために
体がどういう動きをしているかを観察し、
その動きを少し大きくしていくというやり方です。
■そうすると、
それに合わせて息が深くなっていきました。

ラクな姿勢を強調したり、体重を移したりのほうが簡単 †
•これはこれで気持ちよかったのですが、
このごろはあまりしていません。
•このごろは、自分が、今、
どんな姿勢が楽かなと、ちょっと姿勢を変えて探して、
その姿勢を少し強調したり、
体重を少し移したりしたほうが
自然に息が深くなる事がわかったからです。
◦呼吸に合わせて姿勢を変えていくよりも、
そのほうが無理なく自然に息が深くなり、
気持ち良さも深く、
私にとっては、面倒さが少なくて
簡単にできる事も解りました。
■今では、
操体や鍼灸をしたり
後輩にそれらを伝えたりという仕事の合間にも、
パソコンに向かったり、家事をしたり、
電車に乗って移動したり、あるいは歩っている最中にも、
その時楽な姿勢を少し強調したり、
体重を移しやすいほうに移して
息が深くなるのを待つという形での
一人操体をしょっちゅうしています。
■癖になっています。

指圧・按摩、鍼灸でも息が深くなる †

指圧でも、息が深くなる †
•その後、
指圧でも押している時間を長くすると、
タワメの間と同じように
息が深くなる事がわかりました。
◦一押し5秒くらいだと深くなりませんが、
その方の体の状態に合った所を1分近く押し続けると
タワメの間と同じ様な深い息をしだす方が多いです。
■ただし、
5秒押しでもリズミカルに続けると
息が深くなる事が結構あります。
•5秒程度に押す事を繰り返すのが
指圧と考えている方から見れば、
1分も押し続ける私の方法は指圧ではないかもしれません。
◦親指を余り使わず、
肘から前腕、拳骨、指関節、膝などを多く使いますし。
■肘は、特によく使いますが、
受け手の方の体に当たる面積が
親指よりも広くて当たりが柔らかく、
肩からの関節の数が少ないので
長い時間押してもブレ難い、つまり、
強さというか圧を一定に保ちやすいようです。
■そのため、
気持ち良さが途切れる事無く続くと言って下さる方が多く、
受け手の方の息も深くなりやすく、満足度も高いようです。
•そういうわけで、操体的な視点で見れば、こういう、
1分以上押し続けるやり方で良いのではないかと思い、
実行しています。

按摩でも息が深くなる †
•ゆっくりとした揉みを混ぜて
マッサージ風にする事もあります。
◦按摩風操体というか、そんな感じで、
している最中は、
受け手の方の息がより深くなるように、
圧し方、揉み方、リズム、力のいれ具合、
力を入れる方向などを
少しずつ変えていきます。
■片手でカワの操体、片手・片肘で按摩指圧というのも
良く行います。
■ゆっくりとなら、
動きや重さの操体と組み合わせる事もできます。
•前にも書きましたが、
痼りを押したり把握したりしながら
動きや重さの操体をすると
タワメの間が見付けやすくなります。

鍼灸でも、息が深くなる †
•それから
鍼灸でも、効果を上げている時には
息が深くなる事が多い事に気が付きました。
片麻痺の方の指に硬く捻った灸をして
熱さを感じて逃げてもらうようなタイプの方法では、
息は深くならない場合も多いですが、
◦ゆっくり暖めるようなお灸をしていく時や
ゆっくり時間を掛けて鍼を刺していく時には、
息は深くなる事が多いです。
◦また、
熱さを感じて逃げる動作を誘導するようなお灸をした後、
息が深くなっている事もあります。
■パッストン系の瞬間脱力をした後のような感じで。

タワメの間へ瞬間脱力で誘導 †
•また、
タワメの間に入りつつあるのだけれど、
巧く入れないでまごまごしている感じの時には、
伝え手のほうが軽くフッと瞬間脱力をすると、
受け手の方の息が深くなり、
それをきっかけにタワメの間に入っていく事もよくあります。
◦この場合の瞬間脱力は極々僅かで
受け手の方には気づかれないくらいが良いのですが、
脱力する速さがゆっくりでは息は深くなりません。
■極々短くしかも出来るだけ速い瞬間脱力をする必要があります。
•いろいろ試してみたのですが、
伝え手の息というか、
お腹を利用するのが速い事がわかりました。
◦息を吸いながら下腹を膨らませ下腹に力を入れていき、
大きく膨らんだらフッと一瞬下腹の力を抜きます。
■こうすると、
誘導、抵抗や支えを作っている手などで瞬間脱力するよりも
速く短い瞬間脱力ができます。
•同じくらいの速さの瞬間脱力としては、
他にアクビの時に「あーあーあ」と口を開けていき
フッと閉じる際の瞬間脱力がありますが、
此方のほうは、瞬間脱力が
うまく支えや抵抗、誘導を作っている手などに伝わりません。
◦そのため、
受け手の方の体にも伝わりにくく、
受け手の方の深い息を誘導する時には使いにくくなります。

アクビの終わりの口の閉じ方は、瞬間脱力の良い見本 †
•余談になりますが、
このアクビの際の瞬間脱力は、
本当に瞬間脱力らしい瞬間脱力だなぁと思うので、
よく瞬間脱力の説明をする時に例に出します。
◦脱力の速さも瞬間的な速さだし、
脱力している時間は本当に瞬間的な短さだし、
脱力した後に歯と歯がぶつかるような事はありません。
■歯と歯がぶつからないというのは、
この瞬間脱力が「急速反転運動」にはなっていない
 という事だと思います。
•この二つがとても
瞬間脱力のポイントを表していて説明がしやすいからです。
◦私は瞬間脱力は早くて短いのがポイントだと思っていますので。

ふっくにゃぁ系脱力の「ふっ」は極小さな瞬間脱力 †
•誤解をされるといけないので、付け加えておきますが、
ふっくにゃぁ系の場合には、細かく言えば
「ふっ」の部分で大変短く大変早い瞬間脱力をしている
 のだと考えています。
◦その直後に深い息になり「ぽわわん」とした
タワメの間になることもありますし、
体全体の力が抜けた状態で
しばらく深い息を続ける事もあります。

操体の気持ち良さを味わってもらうのが先 †
•話を戻します。
伝え手のほうが瞬間脱力をするのは
操体は自力という考え方に反するのではないか
 という意見もあるようです。
•私は
先ず受け手の方に操体の気持ち良さ、特に
タワメの間の気持ち良さや脱力した後の気持ち良さを
味わっていただくほうが先
 だと思うので、
◦タワメの間に入れないで
もぞもぞしている感じを受ける時には、
a.空いている手で動きを誘導したり、
手が届かない時には、声を掛けて、
患者さんに新しい動きを試してもらったりします。
b.それでももう少しだなと感じた時に
下腹を利用した瞬間脱力をします。
■すると、その直後から受け手の方の息が深くなり、
ぽわわんとしたタワメの間にはいっていく事が多いです。
•もう少なくとも10年以上こういうことをしているので、
今では半ば無意識に行っているようです。
◦それに始めた頃も意識して行ったと言うよりも、
半ば無意識でやっていて
結果的に受け手の方の息が深くなって、
あ、こうすると良さそうと気づいたという感じです。
■いつ頃からやりはじめたのかはっきりしないのは、
その辺りに理由があります。

自力の意味を考える †
•操体で言う自力というのは、
伝え手の言うとおりの動きを受け手の方に行ってもらう
 事なのかなという疑問があります。
•受け手の方に
受け手の方自身の体の状態をよく感じてもらい、
体が望んでいる事を理解して、
試しにやってみて
良い感じがしたり気持ち良さが出てきたら
味わっていただく
 のが自力なのではないでしょうか?
◦伝え手というのは、
その手伝いをする役割だと思います。
■体が感じている事や望んでいる事が解らなければ、
こうではありませんかとアドバイスをし、
そのために何処をどう動かすか解らなければ、
こういう動きやズラし(カワの操体の場合)はどうですか
とアドバイスしていく役目だと思います。
•この、操体で言う自力とは何かという点については、
いずれまた詳しく書きたいと思いますが、
今は、そういう気がするので、私自身は、
伝え手が瞬間脱力する事も操体に取り入れている
 という事にしておきます。

効果を出すには、息が深くなる事が必要 †
•また、話を戻します。
•私は今まで書いてきたような経験を積み重ねているうちに、
受け手の方の体が喜び、受け手の方が満足する、あるいは、
歪みが減って体が整う、もっと言えば、結果として
痛みや辛さが少なくなるためには、
息が深くなる事が必要なのではないか
 というふうに考えるようになりました。
◦前にも書いたと思いますが、これには、
子供がカゼを引いた時の状態を添い寝しながら観察した
 事も関係しています。

風邪で寝ている時に、深い息をしていた †
•子供が小さい頃、外から帰ってきて
頭が痛い、カゼをひいたみたいだから寝たいと言うので、
作業を中断して布団を敷いて寝かせました。
•作業が一段落した30分くらい後で、
カワの操体でもできるかなと近づいたら、
タワメの間の息よりももっと深い息を既にしていたのです。
◦小さい頃からの事を振り返ってみると、そう言えば、たいてい、
こういう風にカゼをひいて寝ている時は
息が深くなっていたなと思いました。
■しばらく、
呆然と深い息を続ける子供を眺めていました。
•このままでも何とかなりそうだなとも思いつつ、
カワの操体をすれば、もう少し楽にしてあげられるかなと、
背骨を辿ったり体を触ってみて、
ツボが出ている所にカワの操体をしました。

達人の先生方の治療中の患者さんの息などを観察 †
•なんとなく
息が深くなる事と効果が出て受け手の方が満足する事が
関係有りそうだなと気づいてから、
自分がカゼをひいた時などは、
息の変化を中心に体の症状の変化を観察し続けました。
•また、
操体を始め鍼灸・指圧按摩などの達人の先生方が
実演してくださったり、
治療を見学させてくださったりする度(たび)に、
受け手の方の息の深さを観察してきました。
◦そんな事を15年近く続けてきて、
息が深くなれば、少なくとも80%以上の確率で、
効果が出て受け手の方が満足するというが解りました。
■息が深くなる事との相関関係が
他の事との相関関係よりも抜群に高かったのです。
◦操体で言えばパッストン系のような
時間の短い素早い方法では直後に、
ふっくにゃぁ系のような
時間が長いユックリとした方法では最中に、
息が深くなる事が多かったです。
•それで、こういう、
橋本敬三・翁先生が東洋的物療と呼んだ方法では、
受け手の方の息が深くなるかどうかを判断基準にするのが、
他の事を判断基準にするよりも的確に、
その時の受け手の方の体にぴったり合った事が出来る
 ように思っています。

息が深くなるかどうかを判断基準に施術 †
•それで、今、私は、
「タワメの間で息が深くなるかどうか」を判断基準にして
操体をしています。
•また、
操体を始め鍼灸按摩などを含めて、
後輩に伝えていく時には、
施術中には、
常に受け手の方のお腹を見て、息の深さを観察し、
息が深くなるように工夫をしなさいと勧めていますし、
工夫の仕方も伝えています。
◦そして、
そういうやり方で伝えると上達が早いように思います。
■たぶん、
受け手の方の体のその時その場での状態や、
その時に受け手の方の体が望んでいる事に
適切に合わせていく事が出来るようになるからだと思います。

息は、体の状態をリアルタイムに反映している †
•受け手の方の体が望んでいる事は、
一つの操体操法の最中にも刻々と変わっていきます。
◦それに一番早く同調する、
今の言葉で言うとシンクロするのが息のようです。
◦それで、
息の深さを見ていると、
刻々と変化していく体の望みに最も合わせ易い
 ように思います。
■他の判断基準では、即時即応、つまり、
リアルタイムに合わせていく事がうまく出来ないので、
「途中で気持ち良さが途切れてしまった」とか、
「気持ち良さが連続しなかった」と
言われる確率が高くなるように思います。

次回は †
•今回は、タワメの間で受け手の方の息の深さについて書きました。
•次回は、
操体の一つの操法での受け手の方の息の変化していく様子や、
息の自然則として橋本先生が書き残している事の関係などを
書いていきたいと思います。

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