和方養生技術伝承塾~鍼灸・操体実践講座~ 急性期から慢性期まで患者さんが喜ぶ技術を伝承します

まとめ(十人通しのために)

(1)応急処置の基本 †
 応急処置の基本は、「遠くに強く引く」事です。患部が頭首胴の場合には、「遠
く」として手足末端、とくに手足甲が使われます。患部が手足末端に近い場合には、
「遠く」として左右上下対角の対称点が使われ、左右は「巨刺」として有名です。
 慢性期でも時間がない場合に簡略処置をするときには、これに準じます。


(2)運動器系応急処置の手順 †

(2.1)運動器系応急処置の基本手順 †
1.手足の甲への引き鍼(+運動鍼)
2.患部の基本刺鍼
3.患部の動作鍼
4.後始末
 -1.頭散鍼(陽のみのときは省略)
 -2.手足甲への引き鍼

 最初の手足甲への引き鍼は、患部が横隔膜よりも上の場合は手甲、下の場合には
足甲が使われることが多いです。最後の手足甲への引き鍼も最初に準じますが、陰
経や陰位に刺鍼し頭散鍼した場合には、手甲を使います。


(2.2)辛いところ別の刺鍼 †
 辛いところ別の刺鍼は、ツボが出やすい場所の基本刺鍼と、動作鍼がおもになり
ます。

1.腰痛
 腰痛では、基本刺鍼は、腰~尻、膝裏~脹ら脛。運動鍼は、捻転制限と前屈制限
が中心で、捻転制限では腰椎3の横輪切りライン、前屈制限では足太陽にツボが出
ます。
2.肩まわりの痛み
 肩痛では、基本刺鍼は、首~肩、肩甲骨まわり、脇の下まわりです。大椎まわり
や肩甲間部華陀経の、とくに利き手側に出ている方もいます。動作鍼は、挙上制限
では脇の下~上腕陰経や肩甲骨まわり、捻転制限では肩峰~胸と肩峰~背中にツボ
が出ます。
3.膝の痛み
 膝痛の基本鍼は、膝裏~脹ら脛です。動作鍼は、正座不可が中心で、膝裏から足
首方向と臀部方向、膝皿まわりから足首方向と腹方向にツボが出ます。
4.肘の痛み
 肘痛の基本刺鍼は、肘の手のひら側で、肘から2~10cm位の範囲です。動作鍼
のねらい目は、屈曲制限では手陽経、伸展制限では手陰経、捻転制限では前腕の太
いところです。肘先の骨上が痛いときは、そこにつく腱の筋腹(おもに上腕側)に
ツボが出ます。
5.手首足首の痛み
 手首足首から先の辛さには、巨刺、上下刺、対角刺が効果的です。対角刺から始
め、上下刺、巨刺の順で患部に近づけていきます。
6.指まわり、手のひら、足の裏の痛み
 指まわりや手のひら、足の裏など鍼が刺しにくいところの辛さには、灸、硬く細
く捻った糸状の直接灸が効きます。はじめに井穴や指端に糸状灸し、それから動作
鍼のように動かして痛いところをみつけ糸状灸をし、痛いところがなくなったら、
仕上げにまた井穴や指端に糸状灸をします。
 くわしくは、「運動器系応急処置」や「運動器系慢性期の処置のまとめ」を参照
してください。

(3)内科系応急処置の手順 †
 内科系応急処置の手順は、以下の通りです。内科系急性期には、邪気が頭に衝き
上げる上衝が見られることが多いので、手早い刺鍼が大切です。手早く邪気を手足
末端や、陽位である背中側に引き、頭や表位に衝き上げた邪気は散鍼して散らしま
す。

1.手甲に引く
2.手陰経.手首付近に引く
3.足に陰経、陽経の順に引く
4.背中に引く
5.肩頚頭の散鍼
6.手甲に引く

 最初の手足甲への引き鍼は、頭の熱いところと経絡的な関係を考えツボを選びま
す。急性症状なので、頭に邪が衝く上衝があることが多く、陽経側から始めるわけ
です。
 手陰経.手首付近は、患部が表や呼吸器系なら列缺、それ以外なら内関を使うこと
が多く、不整脈など心臓系なら左の陰げきを使います。
 足への引き鍼は、おもに足首から先が使われ、腹の邪との経絡的関係を考えてツ
ボを選びます。
 背中への引き鍼は、腹の邪との横輪切り相関で考えますが、背を丸めて耐えてい
る場合には、その曲がり目、いちばん出っ張ったあたりにツボが出ています。
 上衝で表位の肩首頭も熱いことが多いので散鍼します。
 最後の手甲への引き鍼は八邪などを調べ、出ているツボに引きます。


(4)慢性期の簡略処置の手順 †
 慢性期の患者さんに対しても時間がないこともあります。そういう場合の簡略処
置の基本は、腹への刺鍼を省略することです。省略しても、腹診して腹に出ている
ツボを見付けたときに少し強めに押しておけば、経絡的に関係する手足のツボに刺
鍼したときに、その腹のツボに響きやすく、腹のツボも変わります。手順は以下の
通りです。

0.腹診
1.手に陰経、陽経の順で引く
2.足に陰経、陽経の順で引く
3.背中に引く
4.肩首に刺鍼
5.頭に散鍼し手甲に引く

 慢性期は上衝がないことが多いので、手も陰経、陽経の順です。手は、表位上衝
の邪との経絡的関係を考えてツボを選びますが、慢性期なので肘付近に多いです。
足は中焦下焦の邪との関係を考えてツボを選びますが、慢性期なので膝付近が多く
なります。背中に引くのは省略しても良いです。陰経に刺すと邪が動いて肩首が悪
化することもあるので肩首はできるだけ刺鍼します。熱い場合には散鍼してから。
最後に後始末として頭の熱いところに散鍼してから手甲に引きます。


(5)おわりに †
 筆者は、実際、以上の方法を使って、臨床の場で、応急処置や時間がないときの
慢性期簡略処置をしています。一人10~20分を目処に、長くても30分を超えない
ようにしています。
(慢性期の方には、時間があれば、慢性期の型と灸・灸頭鍼を組み合わせています)

 鍼灸で他の方法を使うことは、あまりありません。にきび、ものもらい(麦流種)
など顔まわりの炎症に指などへの糸状灸を使うぐらいかなと思います。それも広い
意味では上記の範疇にはいると思います。
 みなさんもよく練習して、いろいろな方のいろいろな症状に応用できるようになっ
てください。

powered by Quick Homepage Maker 5.0
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional